deep blue
「トシ、大丈夫だ。こいつァ、俺の昔馴染みの奴で銀時ってんだ」
「…さっき、奴から訊いた。あと晋助を探しにきたって……」言いつつ顔がくしゃり、と歪む。
「トシ、俺はどこにもいかねぇっつってんだろ。心配すんな」
「…でも………」
「あ、あのぉ……」頭をボリボリと搔きながら銀時が気まずそうに声をかけた。
「俺はただ、高杉の親から探しに行ってくれるよう頼まれただけだし、連れて帰る気なんてないから大丈夫だよ。トシさん、心配かけちゃったみたいでごめんな」
そう声をかけられたトシは高杉の胸に埋もれたままふるふると首を振った。
「それにさぁ…。こんな綺麗なトシさんがいるんじゃ、高杉だって帰りたくねぇよな。俺だったら絶対トシさんにしがみついて離れねぇもん」
「銀時。テメェ、トシに手出したらぶっ殺す!」ギラリ、鋭い眼光を光らせ、銀時を睨みつけた。
「おぉコワッ!おたくのご主人、ほんと怖いわァ~」茶化したように銀時が言うので、やっと、トシが声をあげて笑った。
ちょっと泣いたのか、眦がうるんでいる。そのいじらしさにきゅぅぅぅん、としてしまう銀時だが、知られたら殺されるので黙っておく。
「それにしても、どうしてこうなったんだ?」夕餉を取り囲みながら、銀時は高杉に訊いた。
泊るところもこんな山奥ではあるわけもなく、身を寄せることになった銀時だ。
「…ちょっと長ぇ話になっちまうが…。夢だと思って聞いてくれや」
「あぁ…」ごくり、喉を鳴らした。