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(仮) (タイトル未定:イナイレふどきど)

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言うなれば彼は光であり、また闇そのものでもあった。
 自分に「光」を与えたのは彼で…その所為で、「闇」という存在を知った。
 全てを与えたのだ。

「………」

 緩く開いたままの両手を、ゆっくりと凝視する。
 少しでも力を加えれば、その指はまるでロボットのようにぎこちなく形を変えた。
 ギシギシと音でもしそうなその様子に、知らず、口の端からは笑いが漏れる。

「…は………」

 乾いたそれは無遠慮に上空から射抜く真夏の日差しに貫かれ。
 地面へと突き刺さってしまったようだ。
 中天を渡る太陽は、彼の真下に色濃い影を生む。
 その影ごと、縫いとめられてしまったかのよう。

 顔色を変えた佐久間が駆け寄ってくるまで、息すらも満足に出来ないまま、鬼道有人は立ち尽くしていた。