Four promises
そういえば、何か約束をしていたような・・・
(くっ・・ラビめ・・・お酒なんか飲ませやがって・・)
昔から、人との約束だけは破った事は無い。
Four promises
「ルナ!昨日、アレから大丈夫だった?」
今、俺の事を心配そうに見てくれているのは昔から顔馴染みのリナリー。
彼女はこの教団でもとても人気のある子だ。
「あら?今日はちゃんと女の子の格好してるのね?」
これからずっとそうしなよ?と微笑みながら頭を撫でてくれた。
それから、ふと何かを思いだしたように目を合わせてきた。
「そういえば・・ルナ。昨日の約束覚えてる?」
「あ、やっぱり約束してたんだ。昨日お酒入ってあんま記憶なくてな・・・」
「それよ!」
リナリーは少し困ったような表情をして俺の方を指さした。
何のことか分からず意味も無い笑みを返すと彼女ははぁと溜め息を吐いてから口を開いた。
「もう、男言葉は使わないって約束したじゃない!?」
「え”・・・そんな事言った・・?俺・・」
「『俺』じゃないっ!『私』っ!!」
「え・・あ、はい・・・」
「分かってくれたらいいの♪」
また後でね!と告げ、踵を返して行ってしまった。
(俺・・・じゃなくて私、そんな約束した!?)
そういえば、考えてみたら今日、オ・・私は女の格好をしている。
きっと体が無意識に約束を守ったのだろう。
・・・誰と交わした約束かは忘れていたけれども。
ルナはこれから任務があったので、コムイの居る司令室へ向かった。
「ルナ君!・・・じゃなくてルナちゃんだね」
ごめんね、と微笑を浮かべながら私を手招きする。
リナリーから「約束」の事を聞いたのだろうかすぐに訂正する。
彼女同様に嬉しそうな表情でこちらをみる。
やはり兄弟だな、と無意識に思ってしまう。
書類の散らばった司令室の床を硬いブーツで音を立てながら歩を進める。
そしてコムイの座る机の前のソファへ座ろうとした。
「今回の任務は3人で行ってもらうからね」
「・・・そこにいる奴らとですか?」
ソファへ座るつもりだった。
否、座ることが出来なかったのだ。
「そんなイヤそうな顔しないでくれさー、ルナ~」
「僕もちょっと傷つきます・・」
自分より先にソファへ腰掛けていたのはひきしまらない顔をしながらこっちを見てくるオレンジ色の髪をした私と同じエクソシストの青年。
彼の横に苦笑いを浮かべながら座っているのは同じくエクソシスト、白髪頭の少年。
「ただの足手まといだ。任務は俺・・私1人で十分だ。コムイ」
「そうはいかないんだよねー。室長命令っ」
「・・ちっ。了解」
明らかに嫌そうな顔をこちらに向けてくるのは僕が教団に入る前からいるエクソシスト、ルナ。
僕が宜しくと言って手を差し伸べた時、一応返してはくれたが・・・目は弧を描いてなかった。
(嫌々だったんだろうな。まぁ、神田よりは全然いいけど・・・)
隣にいるラビは人懐っこくて、いつも元気そうなエクソシスト、ラビ。
次期ブックマン候補らしい。
ブックマンとは歴史に残されることのない裏歴史を口承で伝えていく秘密の一族らしい。
誰も知らないことが知れる、それでラビはブックマンを目指し始めたらしい。
コムイから任務の詳細を聞いた後、一行は教団を出て任務先へと向かった。
「あぁーー!もう!だからお前らと一緒は嫌だったんだ!」
激しい剣幕で眉間に深い皺を寄せながらこちらに顔を向けて睨みつけてくるルナ。
だがその顔は少し蒼白く、体は僅かに震えている。
「しょうがないさー、っていうかルナが歩こうって言ったんさ!?」
「む・・・」
「ルナ。電車が雪で止まってしまったのは僕らのせいじゃないですよ」
「お前らと一緒にいたら俺の運が無くなりそうだ!」
お前らがいなかったら電車に乗り続けられたかもしれないのに、とぶつぶつ呟いている。
今回の任務先は教団よりもさらに北に位置する場所で、年中雪が積もっている地域であった。
今の時期は雪が酷いらしく、任務先に到着する前に線路に雪が異常な程積もり電車が進めなくなってしまったのだ。
次いつ電車が発車するか目処が立たず、足止めをくらっていた。
「どうします?ラビ、ルナ」
車両の窓から吹雪の様子を覗いながら二人の意見を促すアレン。
電車の先頭の近くでは関係者による除雪作業が行われているのが見える。
「でも、電車が進まないんじゃあどうしようもなくね?」
「いや、このまま進む」
「「は?」」
ラビとアレンは息を呑んだ。
まさか、この大吹雪の中で・・・・・・
「俺らには立派な足があるだろ!?今、使わなくてどうする!!?」
そう言うと、すくっと立ち上がった。
足早に扉の方へ歩いて行く。
「待てって!ルナ!この積もり様さ!?」
慌てて歩くルナの腕を掴み静止させようとするラビ。
アレンも立ち上がり扉の前に立ち塞がろうとする。
「そうですよ!それに今は雪が止んでないですし・・・」
「じゃあ、お前ら二人はそこで待ってろ。イノセンスの回収は俺が一人で行く」
ラビに掴まれた腕を振り払いアレンを押しのけ勢い良く扉を開けるルナ。
途端に室内に冷風が入り込んでくる。
「うっわ、さぶっ!廊下にも暖房効かせとけっつーの」
ラビは両手で自分の肩を掴み思わず身震いする。
アレンは覚悟を決めたのか、団服のフードを頭にかぶせ、
「女の子一人で行かせられませんよ!ラビ!」
少しばかり火の灯った目でラビに呼びかける。
人生の、エクソシストの後輩でもあるアレンに負けるわけにもいかず
「しょうがないさぁ・・行こう」
と首に巻きつけていたマフラーを口元に移動させる。
そうして一悶着があり今こうして雪の降る中、歩いているのだが。
「・・くしゅんっ」
「「!」」
「・・・なによ?」
((そこは女言葉・・・!))
「あっ、あそこに山小屋発見!今夜はあそこに泊まろうさ」
「そうですね。このままでは風邪を引いてしまいそうですし」
ちらっと彼女の方を見ると少し顔が赤かった。
歩き始めて数時間後、山小屋に辿り着いた彼らはまた一つの壁にぶつかった。
「『運良く』山小屋があったのは良かったさー」
アレンはコクコクと頷いて返す。
「んー雪で服がびしょびしょさ。だから・・・」
「「?」」
アレンとルナはラビを訝しげに見つめる。
「服を脱・・・」
ボゴォォという音(がしたような気がした)と同時にラビが顔の横を飛んでいって壁にぶち当たった。
少し離れたところでハア、ハアと言いながら肩を上下させる彼女。
何もかもが嫌になってきた。
「ラビ!てめぇ、何言ってんだ!?」
顔を赤くしながらラビに向かって叫ぶルナ。
いててと言いながらこちらに向き直すラビ。
「別に冗談とかじゃないさ。みんなこのままだったら風邪引いちまうさ?」
そうなったら任務も続行出来ねえし、とじっとルナの方を見て言う。
顔を赤らめたまま顔を顰めて眉間に皺を寄せ溜め息を吐くルナ。
(くっ・・ラビめ・・・お酒なんか飲ませやがって・・)
昔から、人との約束だけは破った事は無い。
Four promises
「ルナ!昨日、アレから大丈夫だった?」
今、俺の事を心配そうに見てくれているのは昔から顔馴染みのリナリー。
彼女はこの教団でもとても人気のある子だ。
「あら?今日はちゃんと女の子の格好してるのね?」
これからずっとそうしなよ?と微笑みながら頭を撫でてくれた。
それから、ふと何かを思いだしたように目を合わせてきた。
「そういえば・・ルナ。昨日の約束覚えてる?」
「あ、やっぱり約束してたんだ。昨日お酒入ってあんま記憶なくてな・・・」
「それよ!」
リナリーは少し困ったような表情をして俺の方を指さした。
何のことか分からず意味も無い笑みを返すと彼女ははぁと溜め息を吐いてから口を開いた。
「もう、男言葉は使わないって約束したじゃない!?」
「え”・・・そんな事言った・・?俺・・」
「『俺』じゃないっ!『私』っ!!」
「え・・あ、はい・・・」
「分かってくれたらいいの♪」
また後でね!と告げ、踵を返して行ってしまった。
(俺・・・じゃなくて私、そんな約束した!?)
そういえば、考えてみたら今日、オ・・私は女の格好をしている。
きっと体が無意識に約束を守ったのだろう。
・・・誰と交わした約束かは忘れていたけれども。
ルナはこれから任務があったので、コムイの居る司令室へ向かった。
「ルナ君!・・・じゃなくてルナちゃんだね」
ごめんね、と微笑を浮かべながら私を手招きする。
リナリーから「約束」の事を聞いたのだろうかすぐに訂正する。
彼女同様に嬉しそうな表情でこちらをみる。
やはり兄弟だな、と無意識に思ってしまう。
書類の散らばった司令室の床を硬いブーツで音を立てながら歩を進める。
そしてコムイの座る机の前のソファへ座ろうとした。
「今回の任務は3人で行ってもらうからね」
「・・・そこにいる奴らとですか?」
ソファへ座るつもりだった。
否、座ることが出来なかったのだ。
「そんなイヤそうな顔しないでくれさー、ルナ~」
「僕もちょっと傷つきます・・」
自分より先にソファへ腰掛けていたのはひきしまらない顔をしながらこっちを見てくるオレンジ色の髪をした私と同じエクソシストの青年。
彼の横に苦笑いを浮かべながら座っているのは同じくエクソシスト、白髪頭の少年。
「ただの足手まといだ。任務は俺・・私1人で十分だ。コムイ」
「そうはいかないんだよねー。室長命令っ」
「・・ちっ。了解」
明らかに嫌そうな顔をこちらに向けてくるのは僕が教団に入る前からいるエクソシスト、ルナ。
僕が宜しくと言って手を差し伸べた時、一応返してはくれたが・・・目は弧を描いてなかった。
(嫌々だったんだろうな。まぁ、神田よりは全然いいけど・・・)
隣にいるラビは人懐っこくて、いつも元気そうなエクソシスト、ラビ。
次期ブックマン候補らしい。
ブックマンとは歴史に残されることのない裏歴史を口承で伝えていく秘密の一族らしい。
誰も知らないことが知れる、それでラビはブックマンを目指し始めたらしい。
コムイから任務の詳細を聞いた後、一行は教団を出て任務先へと向かった。
「あぁーー!もう!だからお前らと一緒は嫌だったんだ!」
激しい剣幕で眉間に深い皺を寄せながらこちらに顔を向けて睨みつけてくるルナ。
だがその顔は少し蒼白く、体は僅かに震えている。
「しょうがないさー、っていうかルナが歩こうって言ったんさ!?」
「む・・・」
「ルナ。電車が雪で止まってしまったのは僕らのせいじゃないですよ」
「お前らと一緒にいたら俺の運が無くなりそうだ!」
お前らがいなかったら電車に乗り続けられたかもしれないのに、とぶつぶつ呟いている。
今回の任務先は教団よりもさらに北に位置する場所で、年中雪が積もっている地域であった。
今の時期は雪が酷いらしく、任務先に到着する前に線路に雪が異常な程積もり電車が進めなくなってしまったのだ。
次いつ電車が発車するか目処が立たず、足止めをくらっていた。
「どうします?ラビ、ルナ」
車両の窓から吹雪の様子を覗いながら二人の意見を促すアレン。
電車の先頭の近くでは関係者による除雪作業が行われているのが見える。
「でも、電車が進まないんじゃあどうしようもなくね?」
「いや、このまま進む」
「「は?」」
ラビとアレンは息を呑んだ。
まさか、この大吹雪の中で・・・・・・
「俺らには立派な足があるだろ!?今、使わなくてどうする!!?」
そう言うと、すくっと立ち上がった。
足早に扉の方へ歩いて行く。
「待てって!ルナ!この積もり様さ!?」
慌てて歩くルナの腕を掴み静止させようとするラビ。
アレンも立ち上がり扉の前に立ち塞がろうとする。
「そうですよ!それに今は雪が止んでないですし・・・」
「じゃあ、お前ら二人はそこで待ってろ。イノセンスの回収は俺が一人で行く」
ラビに掴まれた腕を振り払いアレンを押しのけ勢い良く扉を開けるルナ。
途端に室内に冷風が入り込んでくる。
「うっわ、さぶっ!廊下にも暖房効かせとけっつーの」
ラビは両手で自分の肩を掴み思わず身震いする。
アレンは覚悟を決めたのか、団服のフードを頭にかぶせ、
「女の子一人で行かせられませんよ!ラビ!」
少しばかり火の灯った目でラビに呼びかける。
人生の、エクソシストの後輩でもあるアレンに負けるわけにもいかず
「しょうがないさぁ・・行こう」
と首に巻きつけていたマフラーを口元に移動させる。
そうして一悶着があり今こうして雪の降る中、歩いているのだが。
「・・くしゅんっ」
「「!」」
「・・・なによ?」
((そこは女言葉・・・!))
「あっ、あそこに山小屋発見!今夜はあそこに泊まろうさ」
「そうですね。このままでは風邪を引いてしまいそうですし」
ちらっと彼女の方を見ると少し顔が赤かった。
歩き始めて数時間後、山小屋に辿り着いた彼らはまた一つの壁にぶつかった。
「『運良く』山小屋があったのは良かったさー」
アレンはコクコクと頷いて返す。
「んー雪で服がびしょびしょさ。だから・・・」
「「?」」
アレンとルナはラビを訝しげに見つめる。
「服を脱・・・」
ボゴォォという音(がしたような気がした)と同時にラビが顔の横を飛んでいって壁にぶち当たった。
少し離れたところでハア、ハアと言いながら肩を上下させる彼女。
何もかもが嫌になってきた。
「ラビ!てめぇ、何言ってんだ!?」
顔を赤くしながらラビに向かって叫ぶルナ。
いててと言いながらこちらに向き直すラビ。
「別に冗談とかじゃないさ。みんなこのままだったら風邪引いちまうさ?」
そうなったら任務も続行出来ねえし、とじっとルナの方を見て言う。
顔を赤らめたまま顔を顰めて眉間に皺を寄せ溜め息を吐くルナ。
作品名:Four promises 作家名:大奈 朱鳥