Four promises
そうすればラビとルナも見つかるかもしれないしね、とニコっと笑顔を浮かべアレンがその表情を見て僅かに顔を赤くしたのに気付かないまま神田より先に開いた穴に近づく。
そして―――――――ボゴッ
開いた穴を大きくすべくリナリーは小さな穴の周りの壁を蹴り砕いた。
神田はそれを見て僅かに顔を引き攣らせ、アレンはリナリーの意外な一面を見たことに驚きを隠せなかった。
「さぁ早く進みましょう!」
もはやアレンは何も言わず、ただリナリーの言葉に従った。
「・・・・っはー、また揺れたさね」
「アレンが何かしでかしたのか?」
「それは分かんねぇけど、もしかしたらそうかもな」
ラビは神田の命令によってリナリーが偽イノセンスを破壊したことにより再び始まった揺れをその場に居た人間とは違って予想することが出来ず、驚いて尻餅をついてしまった。
ラビが尻餅をついたせいで背中に乗っかっていたルナは自然に後ろに倒れるようになる。
ルナが頭を打たないように上半身を出来る限りくねらせ、ルナの頭に自分の手をかけぐっと引き寄せ事無きを得たのであった。
しかし二人はなお落ち着いた様子でその場から立ち上がる。
「しっかし、ホント迷惑な作りになってるな。このクソ迷路め・・・・」
「女の子が『クソ』なんて言葉使っちゃいけないさー」
「黙れっ!最近まで『男』だったんだよ!それを・・コムイが・・・・」
ルナは顔に怒りを浮かべ頭に思い浮かんでいるへらへら笑みを浮かべるドがつくほどシスコンの教団内の権力者に腹を立てる。
ラビは、ははと笑ってとりあえずごまかしておくことにした。
ラビはルナを再び背中に乗せ歩き出す。
暫くするとルナがラビの肩にかけていた手にグッと力をこめた。
「どうしたんさ、ルナ」
「ラビ!アレ・・・!」
ルナが指差した方向には僅かに漏れる光が見えた。
「さっきの地震で何か変化があったかもしれねぇ」
「そうさな。もしかしたらアレンに会えるかもな」
「早く進め!この馬鹿ウサギ!」
「なんかルナ、どんどん口悪くなってねぇさ・・?」
まるで騎士が乗っている馬の尻を叩いて急かすようにルナはラビの肩をパンパンと叩く。
叩かれたラビはもちろん馬のように少し駆け足になる。
光の差し込む場所にたどり着くと、すぐ近くに上に登る階段が見えた。
「よっしゃ!これで上にいける!」
「ルナ・・・テンション可笑しくない?」
「・・・かもな。落ち着く」
ルナは深呼吸を繰り返す。
ラビは目の前の階段に変なところはないかチェックする。
あらかた見て、特に変なところは無いと判断するとラビはルナの足を抱える手に力を込めると、とんとんと力を込めて階段を駆け上っていった。
着いた先は先ほど居た最深部の部屋と極似していた。
部屋に置かれている像が僅かに形は違うが似たようなものがあるし、大きな壁画も後ろにある。
「うわ・・・さっきみたいにまた落ちないように注意しないとさー・・・」
「だね。あの像がある石段の辺りとか怖すぎて近寄れないんだけど」
「また落ちたくないさ」
「同感」
ラビとルナは同じタイミングで顔をげっそりさせる。
が、ルナはさっきの部屋と極似しているこの部屋に先程とは違うものがあることに気がついた。
「あの石段の向こうさ、なんかへこんでない?」
「言われてみれば・・・奥行きあるさね」
「進めラビ!」
「えぇー!?」
反射で嫌がる声を出したラビはルナにパシと頭を叩かれしぶしぶといった様子で、ルナを抱えたまま良い思い出の無い石段にそっと足をかける。
少し体重をかけても崩れる気配を見せなかったので、体全体を乗せる。
石段の中心部やや手前にある像は先刻の像とは違い口を閉じていた。
しげしげと像を観察していたラビに上でハッと息を呑む音が聞こえた。
「どうしたさ、ルナ」
「ラビ・・・!アレ!!」
ルナが指差す方向には窪んだ空間の中心に偽者のイノセンスとは全く違う眩い光を放つ本物らしきイノセンスが細い台の上に固定されていた。
それを取ろうとラビが窪みに近づいた瞬間、後ろでドンッ、ボゴッという音が聞こえた。
作品名:Four promises 作家名:大奈 朱鳥