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Four promises

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ボンッ
音を立てて先程のアクマは自爆した。
自爆したアクマの魂は救済できない。
自分には何も出来ない。
アレンは顔を酷く歪ませた。


「じゃーね、アレン。・・・今日は別に何もしないからさ」


アレンの仲間にも、ね?ロードはそう言って扉の中へ消えていった。

アレンはしばらくその場に佇んでいた。そして自責の念に駆られた。
自分には何も出来なかった。
あのアクマにされた人間の魂を救済する事が出来なかった。
一度イノセンスを失って、もう一度イノセンスを手にした時、一体何をイノセンスに誓ったのか。
右手は人間のため、左手はアクマのため、全てを救済するため自分はもう一度アクマのいる戦場へと戻る決意をしたのではなかったのか。
なのに、動けなかった。
何もできなかった。


コツンと何かが頭にぶつかった。


「ティムキャンピー・・」


ティムはアレンの眼をじっと見る。
アレンが今、何をすべきなのかを諭すように。


「ありがとう、ティムキャンピー。今は教団に連絡する事が先」


アレンは廃れた街を散策し、使える電話機を見つけ教団に連絡をとった。


「もしもし、アレンです」

「アレンくん、どうかした?」

「いえ、あの、神殿で・・・・・


アレンは一通り先程神殿内で起こったことをコムイに報告した。
コムイは少し驚いた様子だったがやっぱりね、と既に事態を予測しているようだった。


「そうなるかもしれないと思って、アレンくん達が任務に出発した後少ししてから、あと二人エクソシストにそこへ言ってもらう様に頼んだんだよ」

「え!?誰なんですか!?」

「もうそろそろ着く・・・」


その時だった。アレンのすぐ後ろで声がした。
パッと振り返ると、


「やっと見つけた!アレンくん、お疲れ様!・・・二人は?」

「・・・」


リナリー、神田のペアが援助として送られたらしい。
アレンはありがとうございます、と言って無線を切った。


「それが・・・・」


アレンはついさっきコムイに話したことをそのまま伝えた。
リナリーはとても驚いたようだったが、神田は目を少し大きくさせただけだった。


「ホント使えねぇな、モヤシ」

「アレンです、バ神田」

「とにかくアレン君の言ってた神殿の最深部に行ってみましょう」


三人は神殿へと駆けだした。



「ああああぁぁぁー、全然見えねぇさ!」

「ラビ・・うるさい・・・」


二人は未だに神殿の地下で迷っている様子だった。
ラビはルナをおんぶしながら先程から辺りをうろうろしている。


「やっぱりさっきの場所から動かない方が良かったんじゃないか?」

「いーや、こうやって歩いてたらもしかしたら出口に辿り着くかもしれないさ!」

「でも、アレンが降りてきたときに辿り着くのはさっきの場所だろ・・?」

「戻るさ?」

「そうだな」


暗いからさっきの場所からあんまり進めてないはずだし、なんて言って、ラビとルナは来た道を戻ることに決めた。



「ここです」

アレン、リナリー、神田の三人は先程ラビとルナの落ちた大穴の側に来ていた。
神田は近くにあった手頃な大きさの石を穴に向かって投げ入れる。

ヒューー・・・・・・・・・コンッ

「深そうだが、ちゃんと底はあるみたいだな」

「じゃあ、私一回底の方を見てくるわね!」


イノセンス発動!とリナリーは自身の持つイノセンス、ダークブーツを発動させ、二人の落ちた穴に向かって駆けだし、スッと姿が見えなくなった。
アレンは心から感心した。
僕もあんなイノセンスが欲しかったなぁ、と心で呟いて。

数十分後、リナリーが穴から姿を現した。


「神田の言った通りわりと深さはあったわ」

「ラビとルナは無事でした!?」

「それが、姿が見えなかったのよ・・・」

「どこかに移動したんだろ」

「でも、周りは真っ暗で視界もほとんどなくて・・」

「手探りで行けばなんとかなる」


と、神田が穴の方へ体を向けていたその時、アレンはふと思い出した。
この部屋に入ったときに一番初めに目にしたもの。
そして、地震に崩されることなく未だに部屋に残っているもの。


「あの像の後ろの壁全体に描かれている絵、あれに見覚えとかありませんか?」

「絵・・・?」


神田とリナリーは壁に目を向けた。
やはり特に変わった様子の無い巨大な壁画。
が、リナリーには何かが感じられた様だった。


「これ・・絵っていうよりほかの何か・・・『絵』じゃない・・?」


その時だった。
天井の穴から太陽の細い光が室内へ侵入してきた。


「え・・・?」

「僕がさっきあけた穴・・・とは違うところからの光ですね」


細く眩しい光は鏡がないのに壁に当たると反射を繰り返し、いつの間にか先程ラビが取り上げたはずの場所に再び現れていた偽者のイノセンスに当たる。
光の当たった偽イノセンスは底から仄かに明るい光を放ち鷹の形を模したような像の口が光るような状態になった。


「これは・・・・」

「ある一定の時間になると光がこの偽者のイノセンスに当たって光るようになってたのね」


でもこれに何の意味があるのかしら、とリナリーは手を顎に乗せて真剣に考える。
すると神田がずっと閉じていた口を突然開いて意外なことを言い出した。


「リナリー、イノセンスを発動してあの偽イノセンスを壊せ」


アレンはぎょっとして少し離れた隣に立つ神田を見た。
そして、先程の説明を聞いてなかったのかと問いかけると。


「さっきとは状況が違うだろが。頭使えよ、白モヤシが」


と反論され思わず顔を歪めるアレン。二人を宥めたリナリーは神田に言われたとおりイノセンスを発動させると、ぽっかり空いた穴の中央部に颯爽と君臨する像の口の中で光る偽イノセンスを破壊した。
すると、どこからか先程のような地響きが聞こえて地面が揺れだす。
次第に大きくなる揺れに立つことが困難になったアレンと神田は膝をついてその場に倒れないように揺れに耐える。
空中に浮かぶリナリーは揺れに耐える二人を気遣いつつ、部屋の様子の異変を見逃さないように必死に注意を部屋全体に凝らしていた。
突然ボコッという音が聞こえ、その音の方向にリナリーが空中転換する。
リナリーは音の出たところ、壁画を見て目を丸くした。


「アレンくん!神田!壁画見て!」


先程から止まらない揺れと地響きの音に負けないように二人に大きめの声で叫ぶ。アレンと神田は顔を上げるとリナリーと同じように目を丸くした。

壁画のうねうねとしたまるで道のようなものが描かれていた場所が階段のように段差を得ながら前に突き出してきた。そしてラビとルナが落ちた穴を半分塞ぐようにその階段は姿を変化させ、完全に階段の形になると、その先にあった絵の中の絵のような長方形の部分がガラガラと崩れ去り小さな子供が一人潜り抜けられるかどうかぐらいの穴が現れた。


「あれは・・・通れってことですかね」


揺れがおさまり徐に膝を上げたアレンは顔を上げてリナリーに問いかける。
神田は既に立ち上がり姿が現れたばかりの階段に足をかけていた。


「きっとそうよ」

「ですよね」

「それに進むしかないわ」

作品名:Four promises 作家名:大奈 朱鳥