桔梗
始まりの夜
きり丸は目が覚めて、少しだけ外に出た。
外はやはり寒くて身震いをする。月が綺麗な夜だった。
そこで見た黒い影。それは人だったのか、それとも幻だったのかきり丸自身にもわからなかった。
けれど、無意識に出た言葉は同じ部屋の者の名前
「乱太郎?」
そんなことがあるはずがないのだけれど、きり丸は少し速足で部屋に戻った。そこにはやはり乱太郎の姿があった。
「…なんであんな言葉を言ったんだ?」
けれど、思ったのだ。あれが『乱太郎』だと。けれど、乱太郎は部屋でと鳴りで眠っている。
「どうかしてるな」
「…きり丸?」
「しんべヱ」
「どうかしたの?」
「ん、ちょっと目が覚めたんだ。起こしたか?」
「大丈夫だよ」
そういって笑うしんべヱ。きり丸は布団に入るが、やはり冷たくなっていた。
「冷たい…」
「なら、こうすればいいんじゃない?」
しんべヱは笑って、乱太郎の布団に入る。きり丸も中に入り込む。乱太郎は起きもせず眠ったままだ。
「…あったかい」
「でしょ? 乱太郎って僕より体温高いんだよ?」
「オレ、知らなかったぜ」
「僕も知ったのはつい最近だよ」
「そうなんだ」
話によれば、きり丸がバイトに行った後に寝ボケて乱太郎がしんべヱの布団に入ったことがあったらしい。そこで知ったのだと。乱太郎はいつもきり丸がバイトに行く時は『いってらっしゃい』と言葉をくれていた。
「そうなんだ」
「だから、乱太郎がいればあったかいんだよ?」
「だな」
きり丸はそこにある温かさをかみしめるように抱きついた。しんべヱもだ。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ぐっすりの乱太郎はそれさえも気がつかない熟睡だった。
ただそれは偽りの眠り
そして、温かさ
二人が真実を知るにはまだ時間がかかる…
きり丸は目が覚めて、少しだけ外に出た。
外はやはり寒くて身震いをする。月が綺麗な夜だった。
そこで見た黒い影。それは人だったのか、それとも幻だったのかきり丸自身にもわからなかった。
けれど、無意識に出た言葉は同じ部屋の者の名前
「乱太郎?」
そんなことがあるはずがないのだけれど、きり丸は少し速足で部屋に戻った。そこにはやはり乱太郎の姿があった。
「…なんであんな言葉を言ったんだ?」
けれど、思ったのだ。あれが『乱太郎』だと。けれど、乱太郎は部屋でと鳴りで眠っている。
「どうかしてるな」
「…きり丸?」
「しんべヱ」
「どうかしたの?」
「ん、ちょっと目が覚めたんだ。起こしたか?」
「大丈夫だよ」
そういって笑うしんべヱ。きり丸は布団に入るが、やはり冷たくなっていた。
「冷たい…」
「なら、こうすればいいんじゃない?」
しんべヱは笑って、乱太郎の布団に入る。きり丸も中に入り込む。乱太郎は起きもせず眠ったままだ。
「…あったかい」
「でしょ? 乱太郎って僕より体温高いんだよ?」
「オレ、知らなかったぜ」
「僕も知ったのはつい最近だよ」
「そうなんだ」
話によれば、きり丸がバイトに行った後に寝ボケて乱太郎がしんべヱの布団に入ったことがあったらしい。そこで知ったのだと。乱太郎はいつもきり丸がバイトに行く時は『いってらっしゃい』と言葉をくれていた。
「そうなんだ」
「だから、乱太郎がいればあったかいんだよ?」
「だな」
きり丸はそこにある温かさをかみしめるように抱きついた。しんべヱもだ。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ぐっすりの乱太郎はそれさえも気がつかない熟睡だった。
ただそれは偽りの眠り
そして、温かさ
二人が真実を知るにはまだ時間がかかる…