桔梗
「…本当に小さいな」
「華乱です。あなたは?」
「山田利吉だ。知らないのか」
「…仕事です。いきますよ」
華乱という忍者がいる。
凄腕だというその噂は巷を書き廻っていた。
そんな中で一緒に忍務をすることになった利吉。
今回はその実力を見てやろうと思っていた。
今回の二人の仕事は、ある城の情報の確認とその証拠を見つけ取ってくること。簡単な仕事ではある。だが、その城の守りは強固。一人ではできるものではなかった。そこで白羽の矢が当たったのがこのフリーの二人だった。
忍務は簡単にとは行かないが、証拠でもある巻物を取ったまではスムーズに行えた。だがその後気付かれる。ここの忍者達は思ったより優秀だったらしい。周りを囲まれ、利吉は焦る。
「…あの、すみません」
「何がだ!」
クナイや手裏剣を落ち落とす中で華乱が悠長に話す。
「このままだと、共倒れになりかねませんのであなたは巻物を持って逃げてください」
「なっ」
「それが最適ですので…」
「最適ってなんだ!」
「…あなたが焦れば焦るほど、この窮地はそのままです。少し頭を冷やしてくれませんか? 熱いままではあなたは足手まといのようなものですよ?」
華乱の言葉に利吉はかっとなるが、それでも華乱の言葉に少しだけ頭を冷やす。
「はっきりいいます。私とあなたの実力では私の方が力は上です。なので、今の状況下では私に従っていただきます」
「…」
「あなたがいれば少しだけ足手まといです。その巻物を城に届ける役目をお願いします。いいですね?」
その言葉に頷くしかない。
言葉と同時に放たれた殺気に周りが一旦動きを止める。それは利吉さえも。
「行ってください。必ず、戻ります」
「わかった…」
利吉はその場から消える。それを追おうとしたものがいたが華乱に抑えられた。華乱は手に持っていた糸を引いた。
「ぎゃ!」
「油断大敵ってね」
その糸は周りに張り巡らせていた。
「お前…何をした!」
「ここはですね、私の森だったりするんです。あなたたち気がつかなかったでしょ? 誘いこまれたことなんて」
糸は先ほどの華乱の行動でカラクリが作動していた。
「な…」
「ここは私のカラクリや罠が周りに張り巡らせてある場所です」
その言葉に捕まっていた忍以外の者が動けなる。
「ええ、遊びましょ? みなさん」