桔梗
その忍者に出会ったのは、偶然。
子供たちが帰ってこない事に心配して迎えに行く途中だった。
「あやつらは、また何かに巻き込まれているじゃないだろな」
「今回は、あの三人じゃないんですけどね」
大体、事故や事件に巻き込まれるのは乱きりしん。だが、今回は学級委員である庄左エ門と伊助、そして三治郎と兵太夫という四人だった。いつもであれば、普通に帰ってくるであろう時間に帰ってこない。担任二人は学園長からの命で迎えにいくことになった。
「何かありましたかね」
「そう考えるのが妥当でしょうな」
比較的問題ない四人が帰ってこないのは、事件に巻き込まれたのだ。は組である所以でもあるのか。そんな中、担任たちは子供達と出会った。だが人数が足りない。
「みんな!」
「山田先生!土井先生!」三治郎が泣きそうになりながら、抱きついてきた。
他の二人の伊助と兵太夫も担任の顔を見て安心したらしい。今にも泣きそうにだった。
「庄左エ門はどうしたんだ?」
「先生、あのえっと」
「伊助、落ち着きなさい。大丈夫だからな?」
「はい…」
安心した三人は泣き出してしまったが、二人に事の顛末を話はじめた。お使いに行った後、山賊にあってしまったのだと。ただ、庄左エ門の機転により、バラバラに逃げて待ち合わせ場所に半刻たっても誰かがこなければ学園に伝えようと。ちょうど、その時間に担任の二人がきたといった。
「そうか、三人とも頑張ったな」
「ここからは私たちの役目だな。大丈夫だ。庄左エ門は必ず助けるから安心しなさい」
「せんせぇ」
「しかし、ここで三人だけで帰らせることは危険です」
「それなら、私に任せてください」
そこに現れたのは、利吉だった。
「利吉、なぜここに」
「仕事ですよ。父上」
にこりと笑い、子供たちを撫でる。
「私がこの子達と学園に戻ります。父上と土井先生は庄左くんを」
「わかった」
「よろしく頼む。利吉くん」
二人が姿を消す。利吉は、泣いている三人に笑いかけた。そして。
「大丈夫。君らは強い運を持っているからね! 庄左エ門くんもちゃんと無事だよ。君らがそれを信じなくてどうするだい?」
「うん」
「庄ちゃんは大丈夫だよ」
「だから、僕らは学園で庄ちゃんを待とう!」
「いいこだ」
そして、四人は一足先に学園に戻った。
「どじったなあ」