二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

きみのなかに

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
最初は箸から。
元は客用の一膳だったそれを、オレ用にした。それは日本も了解していて、オレの分の食事を出すときは必ずそれだ。黒い漆に赤い椿が咲いている。日本のは朱塗りで、何も柄は入っていない。食事を待つ間に準備する時覚えた。
次は茶碗。
元々日本の家にあった茶碗はとても小さくて、それで何度もおかわりするものだから、大きいのがあれば、とぼやかれていた。いつだったかの日曜、近くで丁度陶器市があってるんですよ、と言う日本に連れられて買いに行った。オレの手にジャストサイズの大きめ茶碗。くすんだ土の色に、木の枝が描かれている。
その時、日本は湯飲みを二つ買っていた。あなたには足らないでしょうけど。からかうように言われたその湯飲みは確かに小さくて、一口分くらいだけど、お茶なんてそんなたくさん飲めないからやっぱりちょうどいい。
歯ブラシは自分で買いに行った。
日本の家の近くのコンビニ。24時間も開いてるなんて、日本人は本当に働くの好きだね。そう言うと、今日みたいに急に泊まった時に便利でしょう。苦笑して日本はそう言い返した。便利なのは本当だ。うちも今、増えかけているけど、危ないから日本ほどには増えないだろう。
二人で夜道をのんびり歩いた。人目がないからか、手を繋ごうとしても珍しく怒られなかった。ちょっと照れたように笑うのが街灯の明かりでわかって、それがあんまりにも可愛かったので思わず抱き締めたら、さすがに怒られたけど。そうして買った歯ブラシも、もう2代目だ。
置いておく着替えも増えた。体格差が酷いので、日本の服は入らない。去年の夏に、浴衣を一枚縫って貰った。浴衣は簡単に作れるんですよ。笑って、反物を広げていた日本を思い出す。
この部屋が見慣れたものになって、もう随分経つような気がする。ゲーム機のある場所もわかるし、テレビ台のDVDレコーダー横にあるインディアンの置物は、ふざけ半分に持ってきたらそこに置いてくれた。たまに掃除しているのだろう、埃を被ることなく、そこに立っている。
「アメリカさ…どうなさったんですか」
からり、とふすまが開いて、日本が顔を覗かせた。寝転がっているオレを見て、瞬きをしている。
「うん?…いや、ちょっと眠いな、と」
多分オレは、眠いのだろう。確信はなかったが、口に出してみれば欠伸が伴う。つらつらと考え事をしていると、何となく眠くなってくるのだ。
作品名:きみのなかに 作家名:浅平夏晴