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甘味料

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ある晴れた平日。

 いつものように弟は朝早く仕事に出かけ、俺はお留守番をしていた。

 一緒に食べた朝食の後片付けをして、リビングの掃除をして、愛犬達を構いたおして、パソコン開いて、まったりして・・・。


 いつものようにおやつを作る。

 卵にバター、牛乳に薄力粉に砂糖にベーキングパウダー。

 そうだ、バニラエッセンス忘れてた。

 しっかりと混ぜ合わせてバターを溶かしたフライパンに流し込む。

 ちょっと焦げたバターと甘いにおいがたまらない。

 表面にふつふつと気泡が出来たところでフライパンを大きく揺すり、半回転させた。

 今まで熱されていた反対側はスベスベとした光沢を持っていて、思わず頬が緩んだ。

 新たな黄金比を発見してしまったのではないかと思うほどふんわりと焼きあがるホットケーキ。

 「さすが俺様だぜ」

 真っ白いプレートに移し、四角く切ったバターを中央に乗せる。

 そしてすかさず琥珀色が美しいメープルシロップをそっとまわしかけた。

 とろりと溶け出したバターがなんともいい感じ。

 ブログ用に写メを撮り、最高傑作を再度惚れ惚れと眺める。

 断じて猫舌の為食べられず、冷ましていたのではない。

 ・・・では。

 フォークで押さえ、ナイフをすっと引くと甘い香りがいっそう強まった。

 切り込みに流れて滲みこむメープルシロップがまた良い。
 ホント良い。

 味わって一切れ、一切れと口に運んだ。

 甘い、柔らかい、旨い、温かい。すっげー安心する。

 「ガチで幸せだぜ・・・」

 ホットケーキも好きだが、このメープルシロップが合いすぎる。

 教えてくれたマシューに感謝だな。

 いや、作ってくれた奴に感謝か。

 て事は蜂に感謝か。

 ありがとう、蜂。・・・蜂?

 ・・・蜂が作んのは蜂蜜だよな。

 でも蜂蜜とメープルシロップって似てるし。

 親戚か?いやいや、食い物に親戚って。

 でも確か菊のところに『他人丼』とか『親戚丼』って食い物があるって聞いた事あるし。

 あれ?分かんなくなってきやがった。

 メープルシロップって何から出来てんだっけ?


 
作品名:甘味料 作家名:akira