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甘味料

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 夕方と夜の間に弟が帰ってきた。

 今日も踊りそうな会議を何とか必死に抑えていたのだろう。

 表情には疲労が色濃く出ているし、「ただいま、兄さん」と告げた声は心なしか嗄れていた。

 風呂に追いやってから食事を摂り、一息ついた所でまたホットケーキを焼いた。
 たっぷりとメープルシロップをかけて出してやる。
 それとブランデーを垂らしたホットミルクも。

「お前疲れてんだろ?疲れた時は甘いモンが一番だぜ」

 自分の前に出された2品に弟は子供のときのような笑顔を見せた。
 
 俺も思わずけせせっと笑みがこぼれた。

 「本当に甘いな。カブトムシにでもなった気分だ」

 「は?何でカブトムシ?」

 「メープルシロップは楓の樹液だからな」

 「・・・え?」

 気に入ってくれたのか上機嫌でホットケーキを切り分ける弟をリビングに残し、自室のパソコンへ走った。

 早速立ち上げ、ウィ〇先生に検索結果を出してもらうと、


 メープルシロップ (maple syrup) は、サトウカエデの樹液を濃縮した甘味料。独特の風味があり、ホットケーキやワッフルにかけたり、菓子の原料として用いられる。主成分はショ糖。


 と、とてもわかり易い説明&答えを貰った。

 俺の中でのメープルシロップの神秘性が消えた。

 同時にアルフレッドへの信頼が-5になった。

 「どうしたんだ?兄さん」

 リビングに戻った俺の顔を見ていぶかしげに尋ねる弟に「なんでもないぜ」と答えるのが精一杯だった。







 しかし、どうしても『メープルシロップ=蝶々』の可能性を捨てきれない俺がパスポート片手にマシュー探しの旅に出るのはあと数日後の事。

 そして厳しい現実を突きつけられた俺がアルフレッドの家へ殴り込みに行くのは、それから2日後の事。

作品名:甘味料 作家名:akira