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【9/19発行予定】憧憬パラノイア【サンプル】

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『鳥籠のカイン』(臨也と新羅)
(中略)
「僕が云えたことじゃ無いかも知れないけど、君は本当に斯う、人間性というものがないのかい? 人の恨みを買うようなことばかりしているから、こんなことになるのさ」
 新羅は云い切るとカップに口を付ける。其れをすました顔で臨也が見ていると、動物でも飼ったら? と新羅が云う。
「人間性を養う為にも君、何か生き物を飼いなよ。生き物を愛でる心は大事だよ」
 臨也は、飼ってもいいと答えた。犬かい? 猫かい? と問えば、新羅はすぐ首を振る。
「あー駄目駄目。いきなりそんな大きなもの飼ってご覧、死んでしまった時後味悪いよ、幾ら君だってきっと其れなりにクるさ」
 如何にも挫折するのが前提の発言。臨也はやや其れに不満を持ちながらも念の為だ、何を飼うのかな? と聞いてみれば、文鳥なんか如何だい? と新羅。けれど臨也は文鳥と聞いても姿形がいまいち、ぴんと来なかった。人間以外の動物にはあまり興味が無かったからだ。
「其れは小さいの?」
「小さいね」
「色は?」
「色々さ」
「綺麗なの?」
「あぁ綺麗さ、果敢無(はかな)い雰囲気の小鳥だよ」
 あらかた質問を終え、臨也は、……ふうむ、一瞬考えてから傍らに脱ぎ置いたジャケットをごそごそ探る。
「じゃぁ買って来て? 飼ってみるから」
 ジャケットを探りながら臨也がそう云うと、新羅は「是非飼うといい、生き物を愛でる心は大事だよ」と先程云った言葉を繰り返す。其れに、飼うよ飼ってみるよ、と臨也がテキトーに返事をし、探しだした財布から札をあるだけ差し出せば、新羅は黙りこくってしまった。自分の態度に愛想が尽きたのだろうと、臨也は何となく気が付く。
「……だって、何が必要か分からないし、ねぇ?」
 そう云えば、新羅はやや不満そうに「まぁ、云い出したのは僕だしね……」と云いながら、臨也の手からしぶしぶ三枚程札を抜き取った。
「そんなんで足りるの? 高いんじゃないの?」
「犬猫よりも遥かに安いよ。籠は高いのにしたらとことん高いけどね」
 たった今まで握りしめていた金額でも足りないくらいのまであるのだと云い、新羅は何やらむにゃむにゃ喋っていたが、臨也はのっけからもう忘れてしまう、臨也の脳は余計なメモリーの占拠は回避するように出来ていた。