誰想う、君想う。
日本がイギリスの夢を見たということは、そろそろなのかもしれない。もしかしたら今年の冬は、また二人並ぶ姿が見られるかもしれない。それは切なくて…とても幸せな未来なのだろう。夢の中での逢瀬のように、幸せな二人を見られるのが、それで笑ってくれるのなら、この切なさも報われるような気がするようにフランスは思った。けれど悔しさは残るから、少しだけ。
「きーくちゃん」
「は、はいっ!び、びっくりしました…、何でしょう?」
「トーンついてる。ちょっと目、閉じて」
「……っ!」
「代金。ごちそうさま」
顔を真っ赤にして、固まってしまっている日本の前で、ウインクをしてから、ぺろりと自分の唇を舐める。数瞬前触れた日本の唇の香りが、切なさと共に口内に広がった。