ソリチュード・Ⅲ
「普通じゃないし、将来人殺しになるかもしれい子どもって、やっぱ可愛くないですよね」
「いや、嬢ちゃんは充分可愛いぞ!」
「赤林に同調するのは不本意ですが、同感です。将来はもっと美人になるでしょうね」
「なんならウチの養子になるかい」
「「え?!」」
いきなり言葉を挟んだ幹彌に四木と赤林は同時に振り返る。
「ちょ、養子とか何なんですか!」
『そうだ!帝人を引き取るのは私達だ!!』
幹彌の言う事に黙っていられなくなった新羅とセルティが参戦してくる。
「ほら、心配いらないですよ」
四木の言葉に帝人は嬉しそうに頷く。
「それと、お願いは聞いて差し上げます」
「本当ですか?!」
「まぁ、もともとそのつもりでしたからね。皇さんは粟楠の関係で狙われた節もありますし。私達には後始末に責任をもつ義務があります。それに、」
フッと四木は帝人に薄く微笑む。
「あなたが手を汚すには早すぎる」
一瞬ポーと赤くなった帝人を、不意にセルティが抱き寄せた。
『ロリコン、駄目、絶対!』
グイと四木にPDAを付きつける。
「四木さん、幼女相手に大人げない色気出さないでくださいよ」
「いわゆる青田刈りというやつです」
「四木、それは究極すぎる」
いい年したオッサンたちが三人でワチャワチャしている。
その間に新羅とセルティは帝人を連れて事務所を出ていくことにした。
シューターの停めたところまでくると、新羅は帝人の前にしゃがんでソッと両腕に触れた。
「さっき言った事、本気で検討してくれてもいいからね」
「さっき?検討?」
不思議そうな顔をする帝人に、セルティがPDAを操作した。
『帝人を養女に引き取るという話か』
「うん、そうだよ。セルティも賛成みたいだしね」
『もちろんだ!こんな可愛い帝人が我が子になるのかと思うと…』
ポワーンとセルティの発する影がハートマークを帯びたような気がした。
「セルティがうれしいと僕もうれしい!というわけで、一度真剣に考えてみてくれないかな」
新羅とセルティの顔を交互に見た帝人は喜びで顔を輝かせたが、ふと深刻な表情になった。
「あの……セルティさん、新羅さん」
「ん?なんだい」
『どうした帝人』
「実は、まだ言っていないことがあるんです」
困ったような顔で二人を見上げる帝人に、
新羅は「大丈夫だよ、これ以上驚くことなんてないから」と言い、
セルティも『そうだぞ、何でも言ってくれていいんだ』とPDAに記す。
「あの、僕…もしかしたら、もうお二人は分かっているのかと思っていたんですが…」
きゅうとテディベアに一旦顔を埋めてから、意を決したように顔を上げる。
「僕、男の子なんです」
もう少し、マンションで話し合う事があるようだ。
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というわけで初のデュラララ長編完成しました。
長かった…終わらないかと思った。
その後、帝人くんはちゃんと息子として岸谷家に引き取られます。
でも竜ヶ峰の姓は残します。
帝人くんが女の子の格好をしていたのは、一応まわりの目を欺くためです。
帝人くんが女装に抵抗がないのは、小さい頃病弱だったので女の子の服を着せられていたのと、お母さんの趣味もあります。
そしてこのまま帝人くんは女装少年に育ってくれれば良いと思います。
普段は男の子の格好もするけど、ファッションの一貫で女の子の服も着るとか。
なんて俺得!