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letter from

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やっぱりそれはおいしい。慣れ親しんだ懐かしい味だ。
すぐに反論が来るのかと思っていたが、いつまでたってもイギリスは反応してこない。
俯いたまま黙って立っているだけだ。
「…………ごめん、ちょっと言い過ぎたな」
さすがに少し頭が冷えて、言いすぎたかと素直に謝ってみる。
それでもやはりイギリスは黙ったままだった。
「…イギリス?」
そっと手をのばして触れようとすると、やんわりとその手を払いのけられた。
「………いいんだよ。これで」
「え?」
「絶対言わないって決めてんだから、いいんだよ」
顔をあげたイギリスは、笑っていた。どこか泣きだしそうな情けない顔で。
その顔に言葉につまったアメリカは思わず視線をそらしてしまう。
「…この世にはな、何があっても絶対に叶わないものもあんだよ、ガキ」
「イギリス」
「…悪い帰ってくれ。一人になりたい」
言って彼は背を向けてしまった。
いつのまにか自分より背の低くなったイギリス。華奢な背中がさみしげで。
でもここで手を伸ばしてしまうことはためらわれた。
アメリカにも、隠している気持ちがあるのだ。イギリスみたいに。
「…勝手に手紙見てごめん」
「いいんだ。お前が見てること分かっててしまった俺も悪い。本当に見られたくないなら、鍵つけるべきだったんだ」
「…ごめん」
「……また来いよ。今度はフランスから美味いワインでもせしめとくから。だから今日は」
「うん。帰るよ。ごめん」
「いいから」
「うん…」
ごめんな、とイギリスが呟いた。
アメリカは答えなかった。


何で自分があんなことをイギリスに言ってしまったかを見透かされてることも本当は知っていたけど。






外に出たアメリカは、つい最近日本に言われた言葉を思い出した。


『私に英語を教えてくれませんか?』
『え?何でだい?こうしてコミュニケーションもできるし必要ないじゃないか』
『ただの興味です。文字でもコミュニケーションできたら、素敵でしょう?』


「絶対絶対、俺は教えてやんないんだからな」

初恋はかなわないんだって教えてくれたのはイギリスだ。
ああ本当にそうだなちくしょう、とアメリカは勝手に流れてくる涙をぬぐいながら、手紙を握りしめたまま成田空港行きの航空チケットを一枚、買った。
作品名:letter from 作家名:湯の人