朝雲暮雨
そのままあまり話さずワゴンまでの道のりを三人でてくてくと歩いていく。結局ワゴンに着くまで無言だったが、その空気は居心地が悪いことは無く、むしろ暖かいものを抱擁しているような気持ちよさで。こんな雰囲気を作り出せるドタチンだから、自分は惚れたんだろうなと改めて自分を見つめなおす。
「おぉー、おかえり。今日もまた大量に買ったな」
「まだまだ!こんなの序の口っすよ!」
「そうだよ、渡草っち!アニメイトもいいけど、とらのあなもちゃんと謁見しないとね!」
「今から行くのか?」
「ゴー!」
遊馬崎と狩沢は声を揃えて次のワゴンの行き先を示す。
渡草と門田は目を合わせて、お互い肩を軽く上下させベルトを締める。じきに鳴りだすエンジン音をものともせず本を読み始める三人。
彼らのワゴンは今日も池袋を走り回る――――――――――