悪あがき
手に入らないもの。
だけど、手に入れたいもの。
「いつまでそうしてるつもり?」
「さぁ…。朝までかもな」
「じゃ、なんか作ろうか?」
クラウドは俺の顔を覗き込んで、尋ねてきた。
いい、と言うと、そっか、と俺の横に腰を下ろした。
テレビはとっくに放送を終えていた。
画面は砂嵐で覆いつくされ、ザーッという音だけが部屋に響いていた。
クラウドは俺の隣で一言も話さず、ただ、俺の手をずっと握っていた。
「…クラウド…」
「何?」
「欲しいものがあるとする。それはもう、手に入らないかもしれない。となったとき、諦めるか? それともあがくか?」
クラウドはうーんとうなって首をかしげている。
「いや、深く考えなくていい。悪かったな…」
「ううん。考えてるのは、どうやって言おうかな、と思って」
クラウドは俺の手をさらに強く握ってきた。
「もし、それが形のあるものだったら、諦めるかな。俺には必要ないものだったんだってね。本当に俺に必要なものならきっと手に入るよ。でも、形のないものなら、あがく。どこまでも、悪あがきする。俺の気持ちが納得するまではね」
「そうか……」
では、俺は、一生悪あがきするしかなさそうだ。
俺のものだとわかっていても。
それを一生手に入れた気にはならないのだから。
「だから、俺はずっと、悪あがきしてるよ」
「え?」
「セフィロスの心、手に入らないもん」
クラウドは少し寂しそうに、うつむいた。
俺は以前から、俺の全てはクラウドのものだと言い続けている。それでも、クラウドはまだ、俺を手にいれた気になっていない、と。
「クラウド、俺はいつも…」
「わかってるよ。セフィロスは俺のものだと、ね。でも、不安になる。本当に俺のものなのかって。俺はこの手にセフィロスを手に入れてるのかって。だから、俺は誕生日やら、クリスマス、ホワイトデーのたびに、セフィロスが欲しい、って言うんだ」
そう言って笑うクラウドに愛しさが込み上げてきて、俺は静かにクラウドを抱きしめた。
だけど、手に入れたいもの。
「いつまでそうしてるつもり?」
「さぁ…。朝までかもな」
「じゃ、なんか作ろうか?」
クラウドは俺の顔を覗き込んで、尋ねてきた。
いい、と言うと、そっか、と俺の横に腰を下ろした。
テレビはとっくに放送を終えていた。
画面は砂嵐で覆いつくされ、ザーッという音だけが部屋に響いていた。
クラウドは俺の隣で一言も話さず、ただ、俺の手をずっと握っていた。
「…クラウド…」
「何?」
「欲しいものがあるとする。それはもう、手に入らないかもしれない。となったとき、諦めるか? それともあがくか?」
クラウドはうーんとうなって首をかしげている。
「いや、深く考えなくていい。悪かったな…」
「ううん。考えてるのは、どうやって言おうかな、と思って」
クラウドは俺の手をさらに強く握ってきた。
「もし、それが形のあるものだったら、諦めるかな。俺には必要ないものだったんだってね。本当に俺に必要なものならきっと手に入るよ。でも、形のないものなら、あがく。どこまでも、悪あがきする。俺の気持ちが納得するまではね」
「そうか……」
では、俺は、一生悪あがきするしかなさそうだ。
俺のものだとわかっていても。
それを一生手に入れた気にはならないのだから。
「だから、俺はずっと、悪あがきしてるよ」
「え?」
「セフィロスの心、手に入らないもん」
クラウドは少し寂しそうに、うつむいた。
俺は以前から、俺の全てはクラウドのものだと言い続けている。それでも、クラウドはまだ、俺を手にいれた気になっていない、と。
「クラウド、俺はいつも…」
「わかってるよ。セフィロスは俺のものだと、ね。でも、不安になる。本当に俺のものなのかって。俺はこの手にセフィロスを手に入れてるのかって。だから、俺は誕生日やら、クリスマス、ホワイトデーのたびに、セフィロスが欲しい、って言うんだ」
そう言って笑うクラウドに愛しさが込み上げてきて、俺は静かにクラウドを抱きしめた。