二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

悪あがき

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
手に入らないもの。

だけど、手に入れたいもの。



「いつまでそうしてるつもり?」
「さぁ…。朝までかもな」
「じゃ、なんか作ろうか?」

 クラウドは俺の顔を覗き込んで、尋ねてきた。
 いい、と言うと、そっか、と俺の横に腰を下ろした。
 テレビはとっくに放送を終えていた。
 画面は砂嵐で覆いつくされ、ザーッという音だけが部屋に響いていた。
 クラウドは俺の隣で一言も話さず、ただ、俺の手をずっと握っていた。

「…クラウド…」
「何?」
「欲しいものがあるとする。それはもう、手に入らないかもしれない。となったとき、諦めるか? それともあがくか?」

 クラウドはうーんとうなって首をかしげている。

「いや、深く考えなくていい。悪かったな…」
「ううん。考えてるのは、どうやって言おうかな、と思って」

 クラウドは俺の手をさらに強く握ってきた。

「もし、それが形のあるものだったら、諦めるかな。俺には必要ないものだったんだってね。本当に俺に必要なものならきっと手に入るよ。でも、形のないものなら、あがく。どこまでも、悪あがきする。俺の気持ちが納得するまではね」
「そうか……」

 では、俺は、一生悪あがきするしかなさそうだ。
 俺のものだとわかっていても。
 それを一生手に入れた気にはならないのだから。

「だから、俺はずっと、悪あがきしてるよ」
「え?」
「セフィロスの心、手に入らないもん」

 クラウドは少し寂しそうに、うつむいた。
 俺は以前から、俺の全てはクラウドのものだと言い続けている。それでも、クラウドはまだ、俺を手にいれた気になっていない、と。

「クラウド、俺はいつも…」
「わかってるよ。セフィロスは俺のものだと、ね。でも、不安になる。本当に俺のものなのかって。俺はこの手にセフィロスを手に入れてるのかって。だから、俺は誕生日やら、クリスマス、ホワイトデーのたびに、セフィロスが欲しい、って言うんだ」

 そう言って笑うクラウドに愛しさが込み上げてきて、俺は静かにクラウドを抱きしめた。
作品名:悪あがき 作家名:藤沢 尊