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夏川おんじ
夏川おんじ
novelistID. 12391
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はれんち

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 しかし旦那は即答がお気に召さなかったらしく、一瞬ぽかんとなってから猛然と食って掛かってきた。そんな顔するってことは了承してもらえると思ってたんですか。
「なぜだ!不自由はさせぬ!何も一歩も外に出るなと言っているわけでなし―――!!」
「俺様仕事もあるし無理だっつってんの!それに旦那のソレは自分の責任!他人を巻き込むんじゃないの!」
 自分の責任、の辺りに詰まったか、う、と怯む。しかし勢いは止まらなかった。
 それこそ立ち上がる勢いで。
「そうやって煙に巻くつもりか!おまえはいつもそうやって―――!」
「ちょ、旦那っ―――」
「ぬあっ―――!?」
 裾踏んづけて、またも転んだ。
 前のめりに。

 つまりはそう、俺のほうに。

「どあああッ!?」
 膝が曲がったまま立ち上がろうとしたためによろけて、体を支えようとして咄嗟に旦那が掴んだのは俺の肩。旦那の馬鹿力で掴まれた勢いのまま、俺は床に引き倒された。

 押し倒されたのは初めてです。

 じゃなくて。
 至近距離で真っ赤な顔して、ってなんで旦那そんな顔してんの―――!

「さ、佐助」
「は、はい」

 思わず応えたけど、近い。顔が近すぎる。

「・・・上司命令だ。違反したら、減給」
「・・・は、・・・はい・・・」



 だからなんで、真っ赤な顔してんの、旦那。
作品名:はれんち 作家名:夏川おんじ