星空パーティ
そんなやり取りを尻目に、シュルクがメリアの皿にバグールのつぼ焼きを取り分ける。
やや赤面しながら受け取るメリア。その間にリキが入り込んだ。口の周りに食べかすをたっぷりつけて、ぴょんぴょんはねる姿はとても和やかだ。
「あー、リキもそれ食べたいも!メリアちゃん、一口ちょうだいも!」
「フフッ、いいぞ。あーんだリキ」
優しく笑うメリアに、嬉しそうに小躍りを始めるリキ。自然、笑みがこぼれる。
かぶりつかんばかりに大きく開けた口は、一口どころの話ではないくらいに平らげた。流石、食欲旺盛なノポン族だ。
その横でカルナがラインに声をかける。
「ねえライン、タバスコ取ってくれる?」
と。
「おいおい、どんだけ辛くするつもりだカルナ?」
ただでさえ辛いハードホウレンを、更に辛くしようとするカルナに、ラインは目を見開く。
ラインもそれなりに辛いものは食べられるが、カルナには敵わないとつくづく思う。何をどうしたらそこまで辛いものが平然とした顔で食べられるのか。
「いいじゃない、私辛いの好きなんだから。ラインも食べてみる?フィオルンやメリアみたいにあーんしてあげてもいいのよ」
「遠慮しとく!俺だって自分で食えるさ!」
以前、一度だけどれ程辛いのか一口食べてみたことがある。本当に口から火が出るかと思う程の辛さで、ラインはこれでもかというくらい水をがぶ飲みした。
情けないわねえというカルナの姿は、その時のラインにとってとても逞しく見えていたように思う。
そしてそれは今も同様だった。
広がる星空の下、広がるこの世界。ちっぽけな存在かもしれないが確かに彼らはそこにいる。
炎を囲んでの絶えない笑顔や声。それは彼らにしか聞こえないが、彼らにとっては大切なもの。
今はただ、このひと時に身を委ねていたいと、その場にいた全員が思っていた。