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【DRRR】正夢/夢枕【臨帝】

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「…ねぇ、夢に見るのは、会いたいから。強い印象を持ち普段から意識しているから。本当は深層心理で求めているから。一般論ではあるけれど、心理学的観点から高確率であるという研究もあるよ。つまり君が俺を夢に見る理由もそういうことなんだよね」

僕の返答を聞く前から想像して予定していた台詞が耳をかすめていく。
もういい加減、寝かせてほしい。

「…そして正夢になる、ってのは、それを願望として掲げている、ということなのかな」

いい加減にして下さい、そう言いたくてわずかに開いた唇に、生暖かい風を感じる。

吐息。
存在証明。

「…これが夢でないなら」

空気の動きがわずかに揺れて止まる。
僕の言葉を聞き、その意見や反応を見ることが好きな人なら、続きを待つのは当然だ。

「夢でないなら…、願望じゃなかったんでしょうね」

沈黙。瞼は上げない。

「僕が臨也さんの夢を見てないなら、正夢になることもありませんね」

すぐ横に追い風が流れる。ほんの一瞬、彼の匂いがした。
少し遠のいた声が苦く笑う。

「…起きてるくせに、酷いよ帝人君」

案外爽やかな声で、僕はまたうとうとと意識をまどろませる。
声や気配が感じられては消えた。
何かまだしゃべってるみたいだけど…。
眠い。



携帯のアラームが鳴り響き、朝の訪れたことを知らせたていた。
ぼんやりと目を開けても、そこに黒いシャツ姿は見当たらなかった。
確かめてみても、そこに誰かがいた痕跡は見当たらず、部屋の鍵も閉まったまま。
それとも、夜の間に開かれ、また閉められたんだろうか。
結局、それがどちらなのか知っている人は1人しかいないし、正しい返答が返ってくるとも思わないけれど。

「…きっと待ってるんだろうな…」

もう1度同じように入り込んで昨夜を正夢にすることを。そして「貴方の夢を見ましたよ」と言い出すことを。
思わず笑ってしまう。あの人は本当に時折どうしようもなく子供っぽいことをする。
いつの間にか昨夜に感じた気配が本当にいたことを確信している自分にも笑えた。
正夢にならないようにするにはどうしよう。雨の晩には気をつけなきゃ。
朝からクスクスと笑い、窓を開けた。今日はどうやら晴天になるようだった。