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【DRRR】くんかくんか(*^q^*)【火種サンド】

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》青帝

『くんかくんか』

 その晩、帝人は確かに部屋の鍵を閉め、窓の鍵も閉め、盗聴器がないかをチェックし、メールが途切れないように注意しながら、浴室に入った。
 そこまで厳重にしなければいけないのは、ある特定の人物から時折、ストーカー紛いの、…いやあれはもうれっきとしたstkと呼んでいいと思う。とにかくそんな行動を受けているからだ。
 それも、2人。
 1人は一時期大変しつこかったが、最近は忙しいようだからあまり見ていない。
 その人が情報屋だということを差し抜いても、自分の行動があまりにつつぬけになっているので、周りに相談してみたら部屋の中から盗聴器が見つかった。それもこの狭い部屋に5つ。トイレとか浴室にあった時には、本気で殺そうかと思ったものだ。
 それから気をつけるようになって、そして最近、また盗聴器が見つかった。
 帝人はどうせまたあのウザすぎる人だと思い、その人に対してチャットの中で軽くカマをかけてみたのだが、予想に反して反応は薄く、そこには違和感が残った。

 そこで、その新しい盗聴器を取らずに、部屋の電気を点け、TVを点けたまま外出してみた。
 一般的に販売されている(ネットの裏で一般的に、の話だ)盗聴器のほとんどは一定の周波数でラジオのように有線で音声を飛ばしている。
 そのため音を拾おうと思えば、その周波数が受診できる範囲、せいぜい100mか広くても300m程度に来なければならない。
 自分の家の近くで受信機とイヤホンまたはヘッドホンを付けている人物がいれば十中八九、それが犯人となる。

 そして、その結果見つけたのは、自分と同じ学校に通う、残念な、とても残念な後輩だった。

 とにかく、自分のstkは2人とも厄介であり、危険な人物であると帝人は理解している。
 だからこそ、自宅で入浴するにもまず、玄関や窓の戸締りを確認し、さも部屋にいるようにTVを点けたままにして、もう1度盗聴器がつけられていそうな場所をチェックしてから浴室に向かう。
 そして件の相手とチャットやメールをしていた場合、入浴しながらも時折、携帯に指を走らせる。
 ここまでしないと、自分が安心して風呂にも入れないのだ。全裸のまま浴室から出ることのないよう、湿ることを承知の上でバスタオルを浴室内に持ち込むことも欠かさない。
 情報社会の恐怖をこんなところで味わうことになろうとは。
 両親が知ったら、すぐにでも帰って来いと言われそうだ。


 そこまで警戒しておいて、それでもこうなった結果に、風呂上りの帝人は盛大な溜め息をついた。
 風呂上がりの熱気が体から急激に遠のいていくと同時に、むあっとした湿度が目の前の光景を更に苛立たせるものに変えていく。
 目を細めながら、巻いていたバスタオルを更にきつく縛りなおしておく。

「…何してるの。青葉くん」
「えーと。これはですね」

 無邪気で、童顔な顔が笑顔で振り返る。この後輩は自分が可愛い部類であることを理解したうえで、それを最大限に利用しようとしているのだから怖い。
 魅力的ともいえる、素直そうな顔からは、それに似つかわしくない残念な言葉が出てくる。

「先輩が1日履いたパンツをお借りして、くんかくんかしてました」
「…何してるの、青葉くん」

 僕がなぜ質問をくりかえしたのか、分かっているくせにもう1度同じことを返答する。

「だから、先輩の匂いがしみついた下着を嗅いで堪能して、ついでに欲情してました」

 同じ内容になるなら、これ以上は聞きたくないし、話したくもない。
 これは本当に酷い結果だよ。盗聴器を見つけて以降、何度もstk被害にあったけど、ちゃんと翌日には何もなかったように対応してあげていた。でも、どうやらその努力が出来るのも今日までだと思う。

「すいません。違いますよね、先輩が聞きたかったことって。先輩は何でそんなことをしてるのか、どうやって入って来たのか、なんかを聞きたいんですよね」

 またニコリと笑顔になり、首を傾げながらこちらを見上げてくる。
 確かに最初の頃はその純粋そうな見た目に騙されたけど、もう効きそうにはなかった。
 だってそう言っている姿が、畳にぺタリと座り込んで、先ほど自分が脱いだパンツを両手で持ち上げ、ついでにどうやら下半身の方がズボンも持ち上げている様子なのである。
 最初に見た光景では顔を、その両手に掴んだ布地の中に突っ込んでいたのだ。
 …男の下着を嗅いで勃ててるなんて、どう考えても変態。
 それも不法侵入と盗聴などの前科が勝りこんでいるのだから、これは犯罪者だ。
 そう、コレは犯罪なんだよ。
 もうこれ以上なく冷え切っていた心の奥が、更に冷え込んでいく感覚がわかる。
 そして、自分もニコリと笑顔を返した。

「ねぇ青葉君。僕の考えてることが分かるのなら、当然理解できてるよね?犯罪者はダラーズには必要ないんだよ?そうだよね?」
「ああっ、先輩、俺まで排除しちゃうんですか!?でもそうなると今後の掃除は誰が先導するんですかね?」

 反省の色が全く見えない後輩に、いい加減、声をかけることも嫌になった。
 とりあえず伸ばした手に掴むことが出来たのは、歯ブラシ。ここは浴室の扉の前なのだから、さすがに求めているペンの類は見つからない。今度からは護身用の武器になるものを、部屋のいたるところに配置させておく必要があるようだ。
 爽やかなクリアグリーンをしているこれでも、ちょっと前まで貫通していた手の甲の同じ部分なら貫くことが出来るだろうか。

「ダメです先輩!俺、アレ以来、先端恐怖症になったんです!先輩が細長い物を持つとそれだけで、背筋がゾクゾクしちゃって」

 駄目だコイツ、早く何とかしないと。
 明らかにそれが恐怖症ではなくただの性癖であると確信して、これは攻撃には使えないものだと、構えかけたモーションをやめる。
 僕は仕方がないので、とりあえずすぐそこに置いていた新しい下着と寝巻きを掴み、浴室に戻った。
 服を着る必要がある。
 バスタオルを巻いたままでは、動き難いし、何よりたぶん、あのキモチワルイ後輩を喜ばせてしまうだろうから。
 恐らく、浴槽のドアに透ける肌色を凝視しているんじゃないか。そんな予感、というか確信も持ててしまっているあたり、僕自身ずいぶんstk慣れしてきている。