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【DRRR】くんかくんか(*^q^*)【火種サンド】

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 とりあえずの時間潰しに四つん這いにさせた青葉君の背中に座ってダラーズの掲示板を見ていると、ちょうど5分が経過した頃に安アパートの廊下を走るけたたましい足音が近づいた。
 どうやら本当に全力ですぐ来たのだろうが、近所迷惑なことは伝えておこうと思う。
 こんな安アパートだとは言ってもチャイムはついているというのに、その存在を無視して鍵を閉めていたドアノブが揺らされる。

「帝人君、大丈夫!?」
「……」
「すぐに助けるから!」

 当然のようにガチャリと音がしたかと思えば、薄い扉は簡単に開かれた。

「帝人君!!…って何その格好!うらやましすぎるよ!!」

 僕が腰をかけている青葉君が、床についた腕を震わせながら勝ち誇ったように笑う。
 この人たち、いつ死ぬのかな。

「臨也さん、もう少し静かに走ってくれないと、近所迷惑になるじゃないですか」
「そんな暇ないでしょ!帝人君が重大な犯罪事件に合っているって言うのに!」

 (ついこの前まで貴方もしていたことでしょう)、と言うのは止めておいて、とりあえず目の前の男へ向け、ずっと手の中で転がしていたピンク色の物を投げつけた。
 小さな金属の塊は意外にも風を切る音をさせる。
 簡単にそれをひらりと避けられるが、木製の扉には見事に突き刺さった。

「それと同じ物、今持ってますよね?何で持ってるんですか?」
「いきなり投げつけるなんて酷いよ。っていうか何このショッキングピンクの鍵。笑っちゃうぐらい悪趣味だね。これもしかしてそこの椅子が持ってたのwww本当に人以下だね」
「僕は何故、僕の家の合鍵がそうも沢山あるのか聞いてるんですが」

 青葉君は忠実な椅子に徹していて、売り言葉を買わずに幸せそうな笑顔を浮かべ続けている。
 臨也さんは質問とは関係のないうんちく的なことと自己解釈を口からベラベラと垂れ流し続けている。
 本当にもう、何でこんな変態に囲まれてるんだろう僕。

「…部屋の鍵を変えようと思ってるんですが」
「そのほうがいいよ帝人君!あんなガキにまで複製されるなんて危険だよ!俺が手配してあげるから、すぐに付け替えよう」
「先輩、そんなこと俺がしますから、とにかくこのゴキブリを帰らせてください」
「防犯上、2つつけようと思ってるんだ」
「俺がつけます!」
「俺がつけてあげるよ!」

 互いを睨みつけるstkたち。
 僕はもう1度ニコリと笑う。

「じゃあ、2人ともよろしくね?」



 翌日から、僕の部屋だけ安アパートの扉はゴツくなり、鍵が2つついた。
 窓も窓枠から新しくなり、こちらも2つ鍵がついた。
 どちらも鍵は1つずつ違うメーカーではあるが高性能であり、メーカーに持ち込まなければ複製の作れない製品になっている。
 明らかにドアを破るより横の壁を壊した方が入りやすいぐらい、このアパートには不釣合いなもの。
 しかし互いが入れないように強力な鍵をつけたことで、1つは自分が合鍵を持っていたとして、もう1つが開かずに入れない。もちろん、合鍵も全て渡すようには言ったのだけれど。

「うん、これでちょっとはマシになるかなぁ」

 このぐらいであのstk達が諦めてくれるとは思わないが、少なくとも今後はあんなに警戒して入浴しなくてもいい。
 1人きりの部屋で、ようやく安堵の溜め息が漏れた。