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ワールドイズアキラズ

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 窓から注ぎ込む、日差しがまぶしい。
 珍しく、熟睡していたらしい。
 白。
 一面その世界に埋もれていることに、アキラは違和感を覚えた。
 やわらかな感触に包まれている。身を起こす。あまりにも大きすぎてそれがベッドであると理解するのに少々時間を要した。
「……シキ?」
 思わず、そう呟く。
 昨日はシキの傍で、ベッドには入らず眠ったはずだった。はずだったのに、シキの姿が見当たらない。
 これはいったい、どうしたというのだ?
 見覚えのない部屋。格子窓。……ここは、どこだ?
「シキ、シキッ!!」
 見当たらない人影を探して、その名を叫ぶ。
 しかし、次の瞬間アキラの世界は凍りついた。
「……どうした。また喚き立てていたのか」
 扉(おそらくバスルームにつながっているのだろう)を開けて出てきたのは――
 記憶にあるのとはある意味では寸分違わぬ、そしてまたある意味ではまったく異なる黒い人影。
 つまり、まだトシマに居た頃を連想させる出で立ちの、シキだった。
「シ、キ……?」
 思わず、呟く。
 立っている。
 シキが。
 こちらを、じっと見つめている。あの、赤い瞳で。
「シキ!? 本当にシキなのか!? いつの間に目覚めたんだ!?」
 涙がこみ上げてきそうになるのをぐっとこらえる。
「アキラ……?」
 シキが。
 シキが、自分の名をまた呼んだ。ただ、それだけのことなのに。
 お願いだ。これが夢なら覚めないでほしい。
 そう、夢の中で何度願ったことだろう。
 白磁のような綺麗な顔。その頬を少し強めにつねる。
「貴様何をする。また性質の悪い『いたずら』か?」
 その手をはねのけて、シキが言い捨てる。ああ、やっぱりシキだ。そして、夢じゃない。
「いたずら? 何のことだ? それより、ほんとに、シキなんだな」
 こんどはやさしくなでるように、そっとその頬に触れようとする。
 しかし、そこでふと気づいた。
「少し、いいか?」
「服くらい着させてくれ」
 自分の恰好は昨夜眠りに就いた軽装のままだ。要するに下着姿だ。
 空調が聞いているのか、この格好でも肌寒さは感じないが感動を味わうにしても、いくらなんでもこの格好のままではあまりに恥ずかしい。
「本当に……アキラなんだな?」
 いぶかしむようにシキが問う。むしろ、それはこっちが聞きたい。
「なんだよ、じろじろ見て」
作品名:ワールドイズアキラズ 作家名:黄色