ワールドイズアキラズ
それだけで十分だ。理屈なんていらない。理由なんていらない。ただ、シキがいればいい。
「何のつもりだ」
けれど、シキが。シキのほうが拒んでしまっている。
急速に、言葉ではなくアキラはこの状況を理解した。
『シキ』じゃない。このシキは、アキラを『壊した』シキではない。
呆気にとられているシキの手をとる。いつもなら感じる、ピリッとした細やかな電流が走りぬけるような感覚がない。
それでも、この『シキ』もたしかに『シキ』だ。その証拠に、アキラを値踏みするかのようなその目はどうだろう。
その紅い瞳に見つめられていると思うだけで、アキラの中に熱が生まれる。シキが欲しい。この『シキ』は俺の欲しいシキだろうか。
「……ねぇ、『シキ』は俺を抱いたことがないの?」
その腕をつつ、となぞりながら、ふふ、と淫靡にアキラは笑う。
それは、とても面白そうだ。普段の『遊び』なんかとは比べ物にならないほど。
とはいえ。
「どうしてこんなことになったんだ?」
ふとアキラは呟いた。
作品名:ワールドイズアキラズ 作家名:黄色