愛は戦争
手入れしたばかりの日本刀を鞘に納める。決意は、変わらない。
倒すべき相手が一人増えた。
――ただ、それだけのことだ。
「聞いているんだろう。『悪魔』? 俺の望みを、かなえてほしい」
空間がゆがむ。またあのあ空間に移されるのだろうか。
と思ったら、相手の方が現れてきてくれた。
「これ、は……?」
戸惑っている黒衣の姿は紛れもない。
――『アキラ』だ。
問答無用で、鞘から日本刀を引き抜き相手に斬りかかる。
向こうも今回は本来の獲物を持っていた。
キイン、という特有の金属音を鳴らして2本の日本刀がぶつかりあう。
相手は明らかに動揺と――そして怒りをその眼に宿らせている。
自分と同じ顔。青い瞳。
それでも決意は、変わらない。
「何の……真似だ?」
不機嫌そうに、『アキラ』が『アキラ』に尋ねる。
黒いコート。首に下げたクロス。見覚えがある。あの時、真っ先に『悪魔』に斬りかかった『アキラ』だ。
「俺は……決めたから」
首に下げたクロスを握りしめて。アキラが決意の炎を瞳に揺らす。
「シキを、必ず守るって」
それがどんな相手でも、だ。例外はない。だから――
異なる時間軸にいる『自分自身』だろうと。シキに害をなそうというのならば、斬り殺さなければならない相手だ。
意を決して、踏み込む。斬りかかる。
相手も相当な手慣れだ。
斬りかかったその太刀筋を一瞬で見極めて受け止められた。
構わず、半歩引いて尽き。
切っ先で捻られかわされる。それを読んでいた。そのまま振り下ろした勢いをつけて、そのまま相手の腿まで斬り込む。
(――浅い!?)
寸手のところで退かれてかわされた。傷は負わせられたがとても致命傷には至らない。
「……誰が誰を守るって?」
庇うように足をおさえ、グレイのコートのアキラが問う。瞳にわずかにまだ動揺の色を残して。
『アキラ』はまだ戸惑っているらしい。
だから決意を見せ付けるように、クロスに一度キスをして。
「俺が、シキを、だ」
きっぱりと言い放つ。意味がわからないのだろう。
くるりと踵を返す。
「逃げる気か……!?」
「違う」
背で言い放つ。見せることに、抵抗はあった、だけど。それが決意の証と受け取ってもらえるならば。大股で歩き――銀のグリップに手をかける。
物陰に隠していた人影、それは。
「シ、キ……?」
倒すべき相手が一人増えた。
――ただ、それだけのことだ。
「聞いているんだろう。『悪魔』? 俺の望みを、かなえてほしい」
空間がゆがむ。またあのあ空間に移されるのだろうか。
と思ったら、相手の方が現れてきてくれた。
「これ、は……?」
戸惑っている黒衣の姿は紛れもない。
――『アキラ』だ。
問答無用で、鞘から日本刀を引き抜き相手に斬りかかる。
向こうも今回は本来の獲物を持っていた。
キイン、という特有の金属音を鳴らして2本の日本刀がぶつかりあう。
相手は明らかに動揺と――そして怒りをその眼に宿らせている。
自分と同じ顔。青い瞳。
それでも決意は、変わらない。
「何の……真似だ?」
不機嫌そうに、『アキラ』が『アキラ』に尋ねる。
黒いコート。首に下げたクロス。見覚えがある。あの時、真っ先に『悪魔』に斬りかかった『アキラ』だ。
「俺は……決めたから」
首に下げたクロスを握りしめて。アキラが決意の炎を瞳に揺らす。
「シキを、必ず守るって」
それがどんな相手でも、だ。例外はない。だから――
異なる時間軸にいる『自分自身』だろうと。シキに害をなそうというのならば、斬り殺さなければならない相手だ。
意を決して、踏み込む。斬りかかる。
相手も相当な手慣れだ。
斬りかかったその太刀筋を一瞬で見極めて受け止められた。
構わず、半歩引いて尽き。
切っ先で捻られかわされる。それを読んでいた。そのまま振り下ろした勢いをつけて、そのまま相手の腿まで斬り込む。
(――浅い!?)
寸手のところで退かれてかわされた。傷は負わせられたがとても致命傷には至らない。
「……誰が誰を守るって?」
庇うように足をおさえ、グレイのコートのアキラが問う。瞳にわずかにまだ動揺の色を残して。
『アキラ』はまだ戸惑っているらしい。
だから決意を見せ付けるように、クロスに一度キスをして。
「俺が、シキを、だ」
きっぱりと言い放つ。意味がわからないのだろう。
くるりと踵を返す。
「逃げる気か……!?」
「違う」
背で言い放つ。見せることに、抵抗はあった、だけど。それが決意の証と受け取ってもらえるならば。大股で歩き――銀のグリップに手をかける。
物陰に隠していた人影、それは。
「シ、キ……?」