比翼の鳥
こんな馬鹿馬鹿しい空想話は、聞いて呆れるに違いありません。
自分でもそう思うのです。えぇもちろん有り得もしないことだとは十二分にわかっていますとも。
それでも、イギリスさん。私は貴方と共に生きていきたいのです。そう、願わずにはいられないのです。
「日本。以前俺が持ってきた茶葉はまだ残っているのか?」
「あぁ…そうでした。それなら確かここに、」
イギリスさん。イギリスさん――
「せっかくお前が美味そうなスコーンを作ってくれたんだ。お茶は俺が…淹れてやるよ。…英国式のとびきりなやつをな」
「はい!…えぇ、ぜひ」
貴方を、お慕い申しております。
貴方と共に歩む世界を、私はこれからもずっと見ていきたいのです。
「もし、イギリスさん」
「どうした?」
どうか、どうか。
「一つ…」
これは只の愚かな戯言です。けして叶うなどと夢に願うわけでは御座いません。
くだらぬと邪険に払って頂いて構わないのです。
「――こんなお話はご存知ですか?」
それは『比翼の鳥』ともうします。
【終】