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別れの言葉

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「    、    。」

 怖い夢を見た。






 はっと目を覚まし、腹筋で上半身を跳ね起こした。
 まだ辺りは暗く、ぼんやりと暗い天井が見える。
 時計を見ると、兄さんとおやすみのキスを交わしてからそう時間も経っていない。
 ついでに言うと、自室は眠りについてから何も変わっていない。
 思わず俺は深い安堵のため息をついた。
 あれは夢だったのだ。


 ―それにしても


 酷く怖い夢だった。
 しかしどんな夢だったのか全く思い出せない。
 ただ体中が恐怖を覚えていてまだ微かに震えている。
 嫌な夢。
 本当に、精神が死んでしまいそうな・・・。
 疲れているのだろうか?
 二回目の、今度は細く長いため息をつき再びベッドに寝転んだ。
 ここ数年いろいろあったからな。
 そう、いろいろと・・・。

 コンコンと、ノックの音がした。

 音も無く開いたドアに目をやると、明るい廊下の光を背に受け、大柄な奴が立っていた。
 誰だ?ここには俺と兄さんしかいないはずだ。
 侵入者にしてはあまりにも堂々としている。
 じっと目を凝らし、光に慣れさせた。
 突然の来訪者はロシアの化身、イヴァンだった。

作品名:別れの言葉 作家名:akira