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グランがガチで宇宙人というだけのお話

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 まだわだかまりは残るものの、グランはエイリア学園のかつての仲間たち、そして養父と和解することができました。
 形ばかりといえば、そうかもしれません。しかし焦らずじっくりやっていけばいいと前向きにグランは考えました。今度こそ、誰でもない本物のグランとしてサッカーができるのですから。

「うーん……あれ?」
「どうした、グラン?」
 首を傾げるグランに、それにつられて守も首を傾げました。
「いや、何か忘れているような……。ま、いっか」
「それより、早くいこーぜ!皆待ってるぞ」
「……うん!」
「なあ、これからお前ってどこに行くんだ?やっぱり星の使徒の皆のところに戻るのか?」
「えーっとねぇ……」
 当然のように地球での今後の身の振り方を考えるグランの頭からは、すっかり故郷エイリアのことは隅に追いやられていました。




 彼らの最終決戦、そして和解の日より少し未来の日のこと。
 服役中の養父との面会後、グランは養父の様子を伝えるためにエイリア学園の元キャプテンを集め、ついでに近況報告会を行いました。
「そういえば姉さんに聴いたんだけど、研崎も父さんと同じ施設にいるみたい」
「へえ、あいつも待遇いいんだね。……あ、すみません。このチョコレートパフェ追加で。はい、今すぐでいいんで」
「あれで一応、社会の重要人物だからな。……おい涼野、冷たいものばかり食べていると腹壊すぞ」
「研崎って、あのガリガリのやばそうなおっさんか?エイリアとは全然関係ないところで、しょっぴかれたんだよな。あっ、俺のポテト!勝手に食うなよ!」

 職務放棄どころかすっかり地球に帰化したグラン。彼が故郷からお叱りを受けないことには理由がありました。
 エイリア皇帝は、クーデターを起こされて失脚。逃亡に使用したエイリア石の力によって研崎竜一――星二郎にエイリア石を与えた一連のエイリア事件の黒幕と中身が入れ替わっていたのです。
 実は皇帝がグランに渡していたエイリア石は偽者。彼が基山ヒロトの地位を手に入れた上に命が無事だったことは、本当に神の仕業か奇跡としか説明がつきません。幸か不幸か、自身が必殺技を使えるようになること以上の奇跡を起こしていることをグランが知ることはありませんでした。

「研崎……確か無銭飲食の疑いをかけられた末に逆切れして暴力沙汰起こした奴か。あまり記憶にないな」
「マスターランク以外は会うこともあんまりないしね。俺も縁薄だけどー……ま、悪事千里を走るってね」
「しかも相手が刺青のオッサンだったんだっけか。獄中から出てきたときに、生きてられんのかな」
「逃げるしかないよね」

 こうしてダークエンペラーズ編は水面下で回避されていたのでした。本当にちょっとだけ、ちょっと良い話でしょう?

「でも……はぁー、いよいよ明日かぁ」
 もったいぶったように言う元ジェミニ・ストームのキャプテン――緑川に、グランは頬が緩むのを自覚しました。
「へ~、なにヒロト?嬉しそうだね?」
「そりゃあもちろん。だって、久しぶりに雷門のみんなと会えるし」
「あーあーいいよなー!お前らは!日本選抜なんてずっけーよ」
「いや、選抜って決まったわけじゃないし。まだ選手の候補試合に呼ばれただけだよねアイスうめぇ」
「そうだな……俺もまだ諦めたわけじゃない」
「えっ何?砂木沼さん何か企んでんの!?怖っ!何?なになに?」
 グランが見たところ、何かを企んでいるのは彼一人だけではなさそうです。これは油断して入られないなとバーン――南雲の侵略から自分の料理をガードました。
「チッ。……悔しいけど……お前らあの後すげー成長してたし、頑張ってたしな」
「ああ、せいぜい頑張れ。そして選考落ちろ」
「酷いなぁ。……まあ俺は俺のサッカーをやるだけだよ」
「出たな、本場宇宙人サッカー」
 砂木沼に茶化されるとは思わなかったグランに隙が生まれ、皿の肉の一切れはガゼル――涼野の口に入りました。
「本場って……まあこの星の人から見れば、宇宙人サッカーであることは否定しないけどね」
「なあ、お前の星のサッカーって、必殺技ないんだろ?それでどーやってサッカーするんだよ?」
「他に何か違うところはある?というか、それで客くるの?」
「あっ!俺も知りたい知りたい!」
「ええー?そうだなぁ……俺のところのサッカーはね……」



 これはそう昔でもない、つい最近に遠い星エイリアからきた侵略者の話。
 サッカーと家族と友達が大好きな、宇宙人のお話。


 (おわり)