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グランがガチで宇宙人というだけのお話

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「そういえば、俺の知ってる豪炎寺は必殺技を打つときに白目を剥くことがあったが……まさかそんな事情があったとは……」
 豪炎寺はキリリと顔を引き締め、女子ファンが卒倒しそうな良い笑顔で親指を立てた。返す言葉の見つからない円堂と鬼道は、とりあえず親指を立て返した。
「あの、俺もいいか?」
「あ、俺も俺も。実はさぁー」
 何故か暴露大会のような流れになってしまい、次々にあがる手と相次ぐカミングアウト。
「俺、実は超能力が使えるんだけどさ。中途半端な能力だからバラしても特にどうしようもないと思って黙ってたん……」
「俺も実は帝国の佐久間とは腹違いの兄弟なんだ。片目の髪型にしたり眼帯つけさせたりで、キャラ立てて誤魔化してたんだけどバレてなかったか?下の名前が微妙に近くてハラハラしてたんだが。ほら、一郎太と次郎だろ。俺はともかく、あいつは上に兄弟居る感バリバリだろ?髪の色も小さいときは似ててさ……あっ鬼道。いつも弟が世話になっていたな」
「いや、俺は多分その佐久間の面倒を見た鬼道じゃないぞ」
「僕も実は二重人格のケがあって……。もう一人の人格にのっとられそうになって、最近めっきり鬱病一歩手前だったよ」


「――と、とにかく……俺たちは、仲間だー!!」
――オオーー!!
 なんだか大変なことになってしまったけれど、守が仲間に受け入れられて良かったとグランは思いました。

 この妙な連帯感に流されて、グランはめでたく雷門イレブンの仲間入りをし、なし崩し感が否めないものの心が一つになった雷門イレブンは無事ジ・アースを完成させました。
 後にこの場に駆けつけた雷門中の監督・吉良瞳子が基山ヒロトの義姉同然の人物と判明するなどひとハプニングがあったものの、グランは雷門イレブンの一員として受け入れられたのでした。


 全国をまわっていたイナズマキャラバンは東京に戻り、最終決戦まで調整を行うことになりました。
 そして敵の総本山である富士の樹海にある本部に乗り込む前日。「ぜひ地球の家庭料理を味わってほしい」と円堂家に招かれ、グランは初めて『友達の家にお泊り』を体験しました。
 風呂を借りて、生乾きの髪のまま夕食をご馳走になるグラン。円堂親子の食卓に同席し、一口につき30回噛みながら一生懸命ご飯を食べている姿は、どう見てもただの中学生です。
「ウフフ、嫌だグランくん。箸の持ち方、逆よ」
「ええっ!?……本当だ、こっちの方が食べやすい!もう、どうして言ってくれなかったんだい、守?」
「ふは?はんはいっはは?」
「こらっ、食べながら喋らない!」
「いでっ!!やめてくれよ~母ちゃん!友達の前で!」
「だったらちゃんとしなさい!もう、恥ずかしいんだから」
「ははは。うちの守はそんな器用なことできないよ、グランくん。ほら、これもどうだい?」
「そうみたいですね……わっ、そんなに食べられませんよ!」
 腹八分目どころか胃の限界まで食べることになり、グランはお呼ばれにありがちな洗礼をしっかりと受けました。

 食べれば後はやることもなく、二人は明日に備えて床に就くことにしました。お客様ということでグランは守のベッドを借り、守はその隣に布団を敷いて横になります。
「雷門のみんなとのごはんも楽しいけど、やっぱり庶民の家庭料理って違うね。なんていうか、すっごく優しいよね。温かい感じがする」
「そういやグランは皇子様だったっけ。やっぱりテーブルマナーとか、うるさいのか?グラン、食べ方綺麗だもんな」
「でも基本的に食事は一人で、しかも見張られるようにして食べるから、味気ないもんだよ。それより今日みたいな食事の方が俺は好きだな。肉じゃが、おいしいしね」
「だろー!母ちゃんの肉じゃがは宇宙一なんだ!」
 赤い髪の宇宙人は、今やすっかり地球になじんでいます。寝ることが惜しくて、ひとまず明かりを消したものの気づけば二人は夜遅くまで話し込んでいました。
「なあ、グラン」
「なあに?」
「お前を一人にしたくなくて無理やり仲間にした俺が言うのもなんだけど……よかったのか?今から断ってもいいんだぞ。今まで仲間だった奴と戦うことになるんだから……いや、今更こんなこと俺が言っても困るよな。ごめん」
「……あのね、守。俺、嬉しいんだよ。皆とサッカーできて……ううん、こんなに仲間ができて、かな。いままで、皇族っていっても色々あってね。俺はこの星に来て、立場の危うくて扱いづらい……悪い言い方をすれば、『身内の邪魔者』じゃなくなった。普通の子供になれたんだ」
 守はグランの顔が見えない位置に居ましたが、彼が自嘲ではなく、単に事実として受け入れて語っていることが分かりました。
「でも普通の子供になれたと思ってたから、大好きなサッカーで他の子より劣ってる。そう分かった時は辛かった。頑張れば誰でもできるはずの凄いサッカーがこの星にはあるのに、俺はできない。どんなに他でカバーしても総合的にはウルビダや他のフォワードには負けてる。それでも俺がキャプテンなんだから、贔屓って言われても仕方ないよね。……雷門イレブンに入ってからは、君と一緒に必殺技の特訓をやったけど、やっぱりだめだった」
 ハードな全体練習の後、グランと守は特別メニューを自らに課していました。必殺技の使えるメンバーの助言をもらうこともあります。
 しかしやはりTPがないせいか、最後まで努力が実を結ぶことはありませんでした。
「どんなに頑張っても必殺技は打てない。その力は努力しても得られない、俺には絶対に出来ないことだった。だから正直言って、必殺技を使えないことにすごくコンプレックスがあったんだ。でもね、一番つらかったのは自分の情けなさじゃなくて、疎外感だったのかもしれない。どうあがいても俺は宇宙人で部外者だって、思い知らされる気がしてさ」
「それは……分かるな。俺も、グランと出会うまで結構悩んでたから」
「でもね……守や雷門のみんなとサッカーしてて、分かったんだ。俺はやっぱりサッカーが好きだし、サッカーをしてる自分が一番好きだ。必殺技が出来ないただのサッカー。それが俺のサッカーなんだ」
「……ああ、俺もそう思う」
 かみ締めるように言う二人の声に、悲しみの色はありませんでした。

「そうだよな。俺は俺の、お前はお前のサッカーをするだけだ。……めいいっぱい楽しんで、な!」
「うん。…………みんなとも、できたらいいな……」
 守はグランのいうみんながエイリア学園の選手たちのことだと気づきました。しかし口を開く前にグランが寝入ってしまったことに気づいたので「そうだな」とだけ呟きました。





 士気が上がりっぱなしの状態を維持して特訓を重ね戦力アップした雷門イレブン。
 一行は星の使徒本部に乗り込みます。そしてマスターランクチーム――ガイア・プロミネンス・ダイアモンドダストからの選抜チームのカオスを辛くも破り、吉良星二郎の野望を阻止しました。

「この石に、私は狂わされていたのか。これは人が手にしてはいけないものなのかもしれない」
 吉良星二郎自らの手で巨大エイリア石は消滅。――誰の手にも届かないところへ破棄されました。
 グランもエイリア皇帝から託されていたエイリア石をそれに乗じて処分しました。