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仮面ライダー烈戦伝 第3話

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2号ライダーの声に、3人のライダーは、黄金の微粒子をまきちらしながら、流星群となった。
ライダー・スクリュー・キックは、身体を軸回転しながら敵に突入する技である。それを同時攻撃で行おうというのだ。
超高速回転する3つの流星。それは、スクリューというより剛性きわまるドリルを彷彿とさせた。
渦動する電光と化して3方向から突っ込んだ黄金のミサイルは、凄まじい爆発を呼んだ。
だが、吹き飛ばされたのは、3人も同じだった。凄絶な必殺技が炸裂した瞬間、アルビオンもまたカウンターの超高熱ビームを放擲していたのだ。
く、くそ・・・なんてやつだ・・・。
これほどの攻撃を受けても、こいつは、まだ・・・。
驚愕をこめて見上げた黒煙の中に、よろめきながら立ち上がる影が見えた。
V3は、見た。その背中に生える白い翼を。だが、片翼と片腕は今の攻撃でもぎ取られ、大量の血が流れ出ている。
「あの子が・・・あの子さえ邪魔しなければ・・・あなたがたなどに・・・」
アルビオンの激痛と憎悪と屈辱が、美しすぎたはずの相貌を見る影もなくゆがませている。
「だが・・・あなたがたの敗北は必至だ。人類がこうして抵抗をつづける限り、あなたがたに未来はない」
「そんなことはないさ。未来は明るい。人類の未来が明るくないわけがないじゃないか」
アルビオンの声に、1号ライダーは、空を見上げた。そこに垂れ込めるのは、暗黒の天蓋。しかし、1号ライダーには、そこにさえぬけるような青空を見ているようだった。
「おれたち人間は、みんな心に光を宿して生まれてくるんだ。その光はバラ色なのさ。その光を感じるとき、みんなが笑顔になれる。その光がこれまで人類を導いてきた。だから、人類は、滅びない。人類は、おれたちは・・・」
決して、悪には屈しない!
ふたたび黄金の輝きを放って、ライダーたちは天に跳ぶ。たしかに、彼らに内蔵された超小型原子炉の暴走は、ぎりぎりのところで制御されているようだ。だが、それも長くはもつまい。
この一撃ですべてに決着をつける。
「みんな、ピンポイントだッ!」
1号ライダーの声に、3つの超高速回転ドリルは、アルビオンの身体の一点に照準をロックした。
「・・・神よ・・・!」
巨大化しながら迫り来る黄金の光の矢に全身を打たれながら、アルビオンの口が何かを言おうと開かれる。そこに、壮絶な光と音と振動が巻き起こった。
「トリプル・ライダー・ライトニング・ドリル・キックッ!!!」
崩落寸前の屋上に降り立った仮面ライダー1号、仮面ライダー2号、仮面ライダーV3の後方で、暗黒の天の彼方にとどくかと思えるほどの火柱が立ち上った。
その中でアルビオンの全身がアメジスト色の光に変換し、消滅していく。
「爆発せず、光になったか・・・。あのアルビオンと名乗った男、ほんとうに天使だったのでしょうか」
変身を解除した風見志郎が天に消えていくアメジストの光を見上げながら、呟く。それと同時に、体内の核反応の自己制御が可能になっていく。
「天使だとしても、少なくともやつに対抗できるだけの力をもつ者が、おれたちを支援してくれた」
本郷が言う。
「あいつ・・・あのアルビオンという男、最期に“神よ”と言ったな」
一文字の言葉に、3人はふと口をつぐんだ。
コマンダーたち改造人間は、天使と自称する男の先兵だった。その天使のあやつる超絶な力。その天使が仰ぐ“神”の存在。
彼らは、苛烈な戦いを予感している。それは、かつて経験したことのないものになるのかもしれない。
だが、彼らは敗北するつもりはない。なぜなら、彼らは、仮面ライダーである以前に、一個の人間として人間の尊厳を守りたいと強く願うものたちだからである。
人間の命を蹂躙するものが神と呼ばれるのなら、彼らは、ためらいなくその前にたちはだかるだろう。
半壊したビルの屋上に立ち、3人の驍勇は、ふたたび空を見上げる。雫が落ち、それは見る間に豪雨となっていく。
その雨に打たれながら、本郷猛は、呟いた。
「おれたちは、負けない」
その声に、一文字隼人と風見志郎は、無言で頷いた。
あらゆる危難、いかなる苦難にも耐えて、立ち上がる。それが人間の本質である、と彼らは信じて疑わない。その信念にかけて、彼らは人間として戦う覚悟を定めていた。
3人がビルの屋上からジャンプすると、そこに3台の怪物マシンが飛来する。3人の愛車である「サイクロン」、「改造サイクロン」それに「ハリケーン」である。
それに空中で颯爽と騎乗した3人は、雨に煙る大地へとダイヴしていく。