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HONEY!

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折原臨也と平和島静雄。
その名前を知ったのは入学式の時だった。




「あれ、帝人? 帝人じゃね?」
「え? あ、紀田くん? 紀田くんだよね!」
「おぅっ! いつでも男前の紀田正臣だぜ!」

ばちん、と鳴りそうなくらいに大袈裟にウインクしてくるのは紛れもなく小学まで一緒だった紀田くんで、僕は大喜びで紀田くんに駆け寄る。
まさかこんなところで再会するだなんて思ってなかった! いきなり東京の高校に決めてしまって親にはかなり渋られたけど押し切ってここにきたんだけど、紀田くんは二人とも知ってるから紀田くんがいることを教えたら少しは安心してもらえるかもしれない。

「久しぶりだね、紀田くん!」
「そうだな!」

あははって笑い合っていたとき、突然怒声と共に大きな音がした。
え、な、何!? と周りがざわついていて、僕も吃驚して周りをキョロキョロと見渡してしまう。
紀田くんは呆れたような顔で、またか。と呟いていた。
またかって……?

「なんだかさ、この高校の名物があるんだよ」
「名物?」
「そう。帝人、この高校には関わってはいけない人が二人いる。一人目は折原臨也、性格も行動もすべてヤバイ、関わっちゃいけない人ナンバー1だ。けど顔がいいから女子には人気だ。くぅぅぅ、羨ましいっ!!」
「で、次は」
「……お前さらっと流すよな。んで、二人目は平和島静雄。普段はまぁ近寄らなきゃ大丈夫だが、折原臨也が絡むとかなりヤバイ。さっき大きな音しただろ。あれ、何か投げた音だ」
「え、なんか凄い音してたけど」
「力が半端ないんだよ。あと怒りの沸点が低い。すぐに逃げるのがいい」

分かったな、とかなり真剣な顔で言われるから、僕はうん。と頷くことしか出来なかった。
でも、どんな人たちなんだろ、と好奇心が疼く。
……この好奇心で自分の身を滅ぼすことになるなんてこのときの僕に気づくはずもなかった。





「うぅ……最悪だ……!!」

バイトして疲れたように眠ってしまってたら朝ずっと走らないといけないくらいにヤバイ時間だった。
時計を見て目が覚めて慌てて家を飛び出したけど本当にギリギリの時間。
幸いだったのが服着たまま寝てたこと……ってあんまり幸いじゃないけど。
鞄の紐を握り締めながら走っていたら遠くで怒声と大きな音がまた聞こえた。
多分紀田くんの言ってた二人がこのこの騒音の原因なんだろうな。
本当にほぼ毎日聞こえるから間違いないだろうけど。
おかしいことに学校に向かう僕に近づいてくるような気がする。ちょっと待って、鉢合わせするんじゃない!?
そう思ったとき

「危ないよ」

後ろから腕を引かれる。
えっと思ったそこには男の人が居た。学ランだったからうちの学校の生徒じゃないと思う。

「そっちは平和島静雄が暴れているからいかない方がいい」

にっこりと笑顔で彼は僕を見る。眉目秀麗って言葉が似合う、カッコいい人だなぁ。
……あ。

「あの」
「何?」
「頬、怪我してます。いいですか?」

怪我を見つけて慌てて鞄から絆創膏を取り出して彼の頬に貼る。良かった絆創膏持ってて。
なぜか驚いたような顔をしている彼にちゃんと消毒してくださいね、と笑えば、彼も笑い返してくれた。

「ありがとう。あ、君急いでたんじゃないの?」
「あ! 遅刻!」

慌てて腕時計を見ればもう走っても間に合わない時間になっていた。あぁ、残念。皆勤賞狙ってたのに。
……こんなこと言ったらまた紀田くんにだからお前は地味なんだよ! とか言われてしまいそう。
まぁ、もう疲れたし、いっか。そう思ったとき、いきなり手を繋がれた。
え、と思って手を見た後、繋いできた彼を見たら、女の子が見たらもう一発で惚れるんだろうな、ってくらいに綺麗に僕に微笑んできた。
まぁ、僕は男だから惚れることはないけどドキッとしたのは確か。

「あ、あの」
「抜け道教えてあげるよ、こっちにおいで」
「わっ」

そう言って走り出す彼に僕は慌てて着いていく。転けないように少しゆっくりめに走ってくれる。
だから足がもつれることなく着いていけた。
鼻歌が聞こえる。何故だかとても楽しそうだ。
自分の息の声は聞こえるってのに、この人は余裕みたい。
もう一度同じ道を走ってみて、と言われても分からないような道を僕たちは走り続ける。
もう僕は彼の走る通りに走っているだけだ。
どうせ普通に行っても遅刻なんだからいいだろう、別に。
そうして僕の上がった息だけ聞こえている中、

「もうすぐ着くよ」

そんな声が前から聞こえ、顔を上げれば本当に学校が見えた。まだチャイムは鳴っていない。
本当にチャイムが鳴る前に着くなんて思ってなかったから、あぁちゃんと道を覚えてればよかった、と思う。
裏門について手が離れる。
僕を見た彼はほら着いたよ。と笑った。

「ありがとうございます!」

息が上がりながら頭を下げればまた楽しそうに彼が笑う声が聞こえる。
そして顔を上げれば思っていた以上の至近距離に彼の顔があった。

「君いいね」
「え、あ、はぁ」
「また会うと思うよ」

にっこりと笑った彼はそう言って僕の頭を撫でた。

「じゃあね、竜ヶ峰帝人くん」

あれ、僕名前教えたっけ?





「帝人ー! ギリギリセーフだったな!」
「紀田くん」

四時間目が終わって当番だったから僕は黒板を消していた。
そんなときいきなり紀田くんが来て話しかけてくる。
話題は今日の朝のこと。
教室のある階まで登って僕が来てないことで心配してくれたのか紀田くんが廊下に出てキョロキョロしてた。
あ、紀田くん、おはよう。と声を出したのとチャイムが鳴ったのが一緒で僕たちはちゃんと挨拶ができることなく教室に入って今に至る。
移動教室が多かったから今の今まで会えなかったんだよね。
昼行くぞーなんて言ったから僕たちは食堂に向かってパンを買ってから屋上に向かった。

「帝人、今日は弁当じゃないんだな」
「作ってる暇がなかったんだよね」
「まぁでも遅刻しないだけよかったな」
「うん、親切な人に抜け道教えてもらって」

へぇ、と紀田くんがジュースを飲んでいた。僕はパンの袋を開けて取り出す。久しぶりに食べたジャムパンは甘かった。
手にジャムがついてたから舐めてたら、紀田くんにその抜け道教えとけよ、とか言われた。もう覚えてないよ。本当なんとか着いていったようなものだったものだし。

「てかなんで抜け道教えてもらうようなことになったんだ?」
「んー遅刻して走ってたら出会ったんだ、そっち行ったら危ないよって教えてくれて」
「危ない?」
「平和島静雄さんが暴れてるって」
「あぁ、確かに凄かったな今朝も」
「んで、近道はこっちだよって」
「へー本当に親切だな。名前は?」
「え……聞いてない」

そこはちゃんと聞いて進展しなきゃだめだろ、って何の話してるの紀田くん! その人は男だよ男!! 何でそんな話になってるの!
慌てて男だって言ったら目に見えて嫌そうな顔をした。本当に分かりやすいよね、紀田くんって。

「ちなみに、帝人」
「なに?」
「俺よりイケメンか」
「イケメン」
「おま! 即答すんなよ傷ついた!」
作品名:HONEY! 作家名:秋海