二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

定義が見当たりません

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
駅前で午後一時に集合。そう帝人と約束した青葉は、十分前には目的地に着いていた。帝人の律儀さならば、時間にならずとも後数分もしない内に合流出来るだろう。
適当に暇を潰そうかと、携帯を懐から取り出し弄くろうとした。
その時、硬質な破壊音とともに大勢の悲鳴が混ざって聞こえてきた。騒然と行き交う人々が、一瞬足を止める。
またか。青葉に限らず、池袋の住民はみなそう思っているかもしれない。
青葉のいる場所から騒ぎの原因の姿は見えないが、何が起こっているかなど想像に容易い。
青葉は忌々しそうに顔を歪め小さく舌打ちすると、帝人との待ち合わせ場所を変更するべきか半ば真剣に悩む。現代日本にもかかわらず、少し歩けば見られる戦争など、帝人の視界にいれてはならない。
(じゃないと、)
「あっ、青葉くん!遅くなってごめんね!」
「…帝人先輩。」
「待たせちゃったよね?」
「いえ…。今来たばかりですよ。それにまだ一時過ぎてないですし。」
「そうだけど。」
「気にしないでください。」
青葉の姿を見て慌てて走ってきたようで、帝人はわずかに息が荒い。遅刻したわけではないのだから慌てる必要はないが、性分なのだろう。
肩を揺らし息を吸う帝人に、今の内に行き先を提示してこの場を離れようとした。
しかし、青葉が口を開くよりも帝人の提案のほうがはやかった。
「ねえ、青葉くん。…ちょっとだけ、見て来ていい?」
嫌な予感的中だ。青葉は自身の童顔に似合わない精一杯のしかめっ面で、帝人を見た。
「…何をですか?」
「ええとね、その、」
「帝人先輩には、今から僕と大事な大事な用事があると思うんですが。」
「うん、それはわかっているよ。もちろん。…うん。」
冗談じゃないと食ってかかってもよかったが、そうすれば帝人は自分一人で行ってくるからと、なんだかんだ言いつつ青葉を置いて行くにきまっている。
青葉は内心で、帝人の意識を奪った元凶二人に毒づいた。





作品名:定義が見当たりません 作家名:六花