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見渡す限り荒野である。
とは言っても、コンクリートジャングルな池袋の大通りであるから、あくまでイメージだが。
たった二人の男のせいで、まさしく現場は惨状であった。本日は何時も以上に被害規模が大きく戦争時間が長い。それに比例して、隣りで野次馬をしている帝人の瞳の輝きようも格別だ。
期待と羨望と畏怖と、渦巻く感情がごちゃごちゃと入り混じる帝人の眼が、青葉は嫌いではなかった。無邪気に貪欲な蒼い眼に青葉が映ることはないが、その輝きを横から覗くのは好きなのだ。だからと言って、元凶に感謝しようとはこれっぽっちも思わないが。
「やっぱりすごいね、折原さんも平和島さんも…。」
「そうですね。」
「そんなに嫌いなのかなあ。」
「本人たちも公言してるんだから、そうなんでしょう。」
「うん。」
帝人は興奮に緩んでいた顔を整え、不思議そうに瞬く。青葉には帝人の疑問がわかった。
確かに、帝人には理解出来ないだろう。もし嫌いな相手が帝人にいたとして、帝人は多分その存在を自身の中から消去するタイプの人間だ。わざわざ関わりにいくという選択肢がない。
互いに嫌悪しあっているなら、無視しあうのが一番なのにと思っているのだろう。
それが出来ないから嫌悪なのだと、青葉は知っている。現に青葉は折原臨也が嫌いで仕方なく、だからこそ帝人を利用しその喉笛を食いちぎる隙をうかがっているのだ。
下手な恋慕より執着を引きずるのが嫌悪だと、帝人は知らない。知らないままでいればいいなあと、青葉は思う。
何よりも執着するダラーズのことだけを考えて、何時までもキラキラと非日常に眼を輝かせていてくれればいい。そのほうが、利用する側としては楽ではあるし、帝人にそんな風に執着する相手が出来るとしたら、それはなかなかに癪に障る状況でもあるのだ。
「帝人先輩。そろそろ、行きましょう。」
「うん…。」
青葉に促されながらも、後ろ髪を引かれるように帝人の歩みは遅い。困った人だ。苛立ちはないが、呆れはする。
「帝人先輩。」
「…好きなのかな。」
「は?」
「本当は好きなのかな。」
馬鹿なことを。帝人の言葉が何を指しているのかわかったからこそ、一笑にふしてしまってもよかった。どうせ帝人のことだから、無視出来ない原因に好意の有無しか思い付かなかっただけなのだろうし。
けれど、そう断じられるほど青葉は彼らの何をも知らない。そもそも知りたいとも思ってはいないが。
彼らの感情など彼らだけが知っていればいい。巻き込まれる周囲に青葉や帝人が含まれない限りは、青葉には関係のないことだ。
ただ、単純に嫌悪だけで対峙しているわけではないのかもしれないと、感じただけだ。それが正解でも間違っていても、この先その事実を青葉が知ることはないだろう。




作品名:定義が見当たりません 作家名:六花