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偽り

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ヴェストのことは好きだった。
でも、恋じゃなかった。
俺はヴェストに恋をしていたわけじゃない。
「俺を求める弟」に恋をしていた。
彼の瞳に映る自分に恋をしていた。
何て愚かなのだ。
「フェ、フェリシアーノちゃんたちは」
「あぁ。あいつら?
 俺と兄さんの中を邪魔しようとするから
 処分しただけだ」
悪びれもせず堂々と言う彼。
怖かった。彼がじゃない。
『彼をこんなにしてしまった自分の神経』が。
俺のせいで、歪んだ愛で、自分を見失ってしまった弟。
もう遅いのだろうか?
「すまねぇヴェスト」
「何がだ?」
「俺は・・・・・・
 イヴァンを愛してる」
倒れているイヴァンを抱き寄せる。
当たり所が良かったのかまだ息はあった。
「何を言ってるんだ? 兄さん」
「俺はあのときお前の告白を拒むべきだった。
 お前が本当に好きなら、大切なら、
 はっきり言うべきだった。
 受け入れられないと」
「・・・・・・」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、彼の瞳の色は変わっていた。
冷たい刃の色。
「分かった」
「ヴェスト?」
こちらへ近寄ってくる彼。
悪寒がした。
「何だよ・・・・・・ヴェスト」
「昔の兄さんは・・・・・・
 俺を愛していた。
 だからこいつは兄さんじゃない」
「違う! 俺はお前の兄!
 ギルベルト・バイルシュミットだ!!」
そう言ったときはもう、何もかも遅かった。
ヴェストの拳が最後、頭にひどい衝撃を与えた。

作品名:偽り 作家名:奏音