偽り
見覚えのある顔。
その顔には笑顔が浮かんでいた。
「迎えに来たぞ。兄さん!」
怖いくらい優しく嬉しそうな声を発する我が弟は
何も変わっていなかった。
「・・・・・・ヴェスト?」
間抜けた声が出る。
ど うし て ヴェス トが こ こ ?
「兄さんのことを愛しているから・・・・・・
迎えに来たんだ」
昔と変わらぬ声で言う彼。
「昔誓っただろう?
ずっと愛し合うって」
蘇る思い出。手をつなぎ合っていたあの日。
「俺は兄さんを愛している」
その言葉を言葉を拒まなかった俺は、
彼に一生の愛を誓った。
誓ってしまった。
本当に彼が好きなら、拒むべきとも知らないで。