The Catcher in the Library
全然怖くないなあ。
しかもちょっとかわいいなあ。
(───もっと話したいなあ)
「あの、平和島さん」
「うん?」
ようやく衝撃から立ち直ってきたのか、平和島静雄はようやく顔を上げて帝人を見た。まだちょっと顔は赤い。
「静雄さんって呼んでいいですか」
「………別に構わねえけど」
なんなんだ一体、ときょとんとした顔に書いてある。
帝人は笑って言った。
「また今度、お話ししてもいいですか」
「……お前変な奴だな」
平和島静雄は赤い顔のまま呆れたように言った。
そのサングラスの下の微妙な表情に、帝人はまた笑う。
───うん。
なんだか、面白そうだ。
帝人はまた、にっこりと笑った。
───まさかその「また今度」が三日後に、しかも空飛ぶゴミ箱にぶちあたるという形で訪れるとは、そのときの帝人は予想もしなかったのだけども。
それはまた、別の話である。
作品名:The Catcher in the Library 作家名:たかむらかずとし