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同軸上で歌う不和

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刺し刻めば懇願、抉り潰せば痙攣、光景はまるで地獄絵図のよう。だが鈍り続ける感受性を持ち合わせた指導者は、内側退屈そうに欠伸を零すのが手に取るように分かる。
上に立つ者としてなど、予防線用に風に飛ばされてしまそうな薄い建前を用意していたようだが。最早公認であるから無意味ですと貯めた言葉は、果たして進言してもいいのかどうかを迷う。
そうこうしている間に精神と身体を破壊するそれは閉幕し、気だるげな動作で着ることが出来なくなった上着を脱いでいたので、預かろうと手を差し出す。
席を外しているあの存在にこの権利はないし譲らない。第一癖になっていて手放せない。
やがて重宝される道具になればいい。信頼を積めるだけの範囲内に居るのだ、焦ることなど賢くはない。自分ならもっと上手くやる。

差し出された手に気付いて渡そうとする緩慢な動きが途中でぴたりと止まる。
処分するんだよねと訊かれ、黙秘を貫いた。前途は多難。
作品名:同軸上で歌う不和 作家名:じゃく