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温くなった微笑

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近眼ですのでと、古風な嘘を平然に吐かれた場面をよく思い出す。まじまじと凝視された割に、渡された言い訳は随分と適当な出来であったから。
まだ観察を始めて間もなかったので紙一重で、偽物か本物か、おおよそ予想はついていたが。まあどちらにしても要チェック人物ではあるという思案を抱いたのが初対面。

整備された既存の路をなだらかに歩行しているかのように、幾つも所有するコネを多用せずやたらと容易い移動であった。のちに知ったことだが、前例があったから楽だったとのこと。さて、言わずとも知れよう。
このようなルートを使う物好きが滅多には居ないだろうと、そのまま繋がった状態で放置したのが小さな間違い。



暫らく時間が経過すると、面識のある者らが次々に転がり込んで来ては見違えるように次第に賑々しい事務局になっていく。時間は一瞬ですらも巻き戻せない。そりゃあ、あの血肉湧き踊る日々が全く懐かしくないとは言わないけども、これでは独り占め出来やしない。
片隅で一人贅沢な溜息を吐き出せば、こんな時だけ童顔な同僚から、無用に機敏さを発揮して反応された。
楽しいですね。と、ふわり地を離れて浮いた言葉。
まあ、いいか。大分此処に毒されている感触の思考。
そんな具合に特に文句が出ないという箇所自体が、非常に困りものであるかもしれない。


今ではほんの瞬きにも満たない時間に思える大昔の過去を、大事に大事に、穏やかにくるめばすべてを赦せる気がするのはきみの所為か成果か、少し迷う。
作品名:温くなった微笑 作家名:じゃく