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昔話パロ その1

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それから、3年が経ちました。
アプリコットの木には、たくさんの実が生りました。
―待っていろ、リヒ。今、迎えに行く!
ルートヴィッヒはかごいっぱいにアプリコットの実を入れると、リヒのいるお城へと向かいました。

さて、お城では―。
この3年間、リヒはアーサーの前では一度も笑わなかったそうです。
そして、いつも物憂げに沈んだ顔をしていました。

その頃、ルートヴィッヒはリヒのいるお城の前までやってきました。
「アプリコット、アプリコットはいらないか~~?
甘くておいしいアプリコット~、ジャムなどにいかがだろう~?」
ルートヴィッヒは顔を真っ赤にして、恥ずかしいのを我慢して、お城の中まで聞こえるくらいの大きな声で言った。

その声はリヒの耳にも届いていました。
―ルートヴィッヒさん?!やっぱり来てくださったんですね…。
リヒの顔に笑みがこぼれた。
―リヒが笑った?!
「誰か、門の前にいるアプリコットを打っている物売りをここへ連れて来い!!」
アーサーは3年振りにリヒが笑ったので、大喜びでした。

「おい、そこの物売り!もう一度、アプリコットを売って見せろ」
「は、はい…」
ルートヴィッヒはもう一度、大きな声でアプリコット売りを演じてみせました。
リヒはクスクスと笑って、ルートヴィッヒを見ていた。
「おい、物売り!俺と服を交換しろ!」
アーサーは自分がアプリコット売りの真似をすれば、リヒが笑って喜んでくれると思ったからです。
ルートヴィッヒとアーサーは別室で服を好感しました。

「アプリコット~、アプリコット~。
 国で一番おいしいアプリコットはいらねえか~?」
庶民の服に着替えたアーサーは、ルートヴィッヒの真似をしてみせました。
リヒはただクスクスと笑うばかりでした。
「ええい、何をしておる!!
 お前はとっとと城を出ていけ!!」
事情を全く知らない家臣の一人がそう言うと、アーサーは兵士に取り押さえられ、お城の外へと放り出されてしまいました。

「ルートヴィッヒさん、お会いしたかったです!!」
「リヒ、俺もだ…」
リヒはルートヴィッヒに抱きつくと、ルートヴィッヒはリヒをしっかりと抱きしめました。

「おい、俺はこの国の王だぞ!この城の主だぞ!!門を開けろ!!」
アーサーはお城の門の前で、門番に噛みついていました。
「なぁーに、言っとる!!お前はただの百姓で、アプリコット売りに来ただけだろ?!
 とっとと帰れ!!」
門番は持っていた長槍を振り回して、アーサーを追い払いました。
そして、アーサーは何処かへと行ってしまいました。

それから、ルートヴィッヒはアーサーと入れ替わり、この国の王様になりました。
そして、周りの国との戦争を止めて、和平を結びました。
国の中では、農業や鉱業などの産業を奨励して、経済を豊かにしました。
もちろん、リヒとは鴛鴦(おしどり)夫婦で国の人たちからも慕われ、幸せに暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。

次のページは後書きらしきものと小ネタを少々。
作品名:昔話パロ その1 作家名:桜飴♪