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小さな光は、遠くても明るい

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―何処へ行けばいいのだろう
   何処へ向かえばいいのだろう―


ある冬のある日。
プロイセンはふと思い立って、ドイツ北部の海岸へと出かけた。
ただ、何となく、海に沈む夕日が見たくなったのだ。

だが、ヨーロッパ北部を中心に近年稀にみる大寒波が襲来していた。

その日の夕方。
リヒテンシュタインはドイツから電話を貰った。
「兄さんがそっちに来ていないか?」
リヒテンとプロイセンは(スイスは非公認だが)恋人同士だ。
プロイセンは時折スイスの不在を狙って、リヒテンの元を訪れている。
それで、ドイツはリヒテンに電話をかけてきたのだ。
しかし、リヒテンは「プロイセンさんですか?今日はお会いしていませんが…」と答えた。

プロイセンには何故か放浪癖があるので、時々ふらっと何処かへと出かけて行ってしまう。
プロイセンは何かあれば、ドイツに電話かメールをしてくる。
だが、今日に限って、プロイセンからの連絡が一切ないのだ。

ドイツは真っ先にプロイセンの携帯電話に電話をかけた。
が、着信を知らせるメロディが家の中から聞こえてくる。
そのメロディの発信源を辿ってみると、プロイセンの寝室のベッドの下だった。

心配になったドイツは、知り合いの周辺諸国に電話を掛けまくった。
しかし、誰一人(?)としてプロイセンに会っていないのだった。
最後の頼みの綱であるリヒテンの所にも、プロイセンは来ていないと言うことになり、ドイツは途方に暮れていた。

リヒテンは心配になり、プロイセンとの会話から彼が行きそうな場所を必死になって思い出していた。
―あら?そう言えば…
リヒテンは何かを思い出して、自分のパソコンを立ち上げ、あるサイトへとアクセスした。
そのサイトは、ドイツ北部の海岸の様子をお天気カメラを通してネット配信しているサイトだ。
カメラは浜辺を向いており、ライブ映像が配信されている。
―確か、プロイセンさんは時々、無性に海が見たくなるとおっしゃっていましたから。もしかしたら…
リヒテンは、一縷の望みを賭けて、映像画面を目を凝らして見ていた。
すると、映像に何やら小さな白いものがチカチカと点滅していた。
―もしかして?!
リヒテンはすぐさま、ドイツに連絡を取った。