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小さな光は、遠くても明るい

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その頃、プロイセンは…。
凍った海の上で迷子になっていた。
数百年生きてきたプロイセンにとって、海が凍るという自然現象が珍しくて、つい凍りついた海へと歩き出してしまった。
「一人楽しすぎるぜー!!」と言ってはしゃいでいて、暫くしてその熱が冷めて、辺りを見渡してみると、氷と雪の真っ白な世界。
自分が来た方向や自分がいる場所など全く分からず、さらに方向感覚を失ってしまい、迷子になっていた。
―そうだ、携帯は…。
プロイセンは携帯電話の存在に気づき、ジャケットやズボンのポケットを探ってみるが、無い。
携帯電話の影も形もなかったのだ。
―げっ、忘れてきた?!!
プロイセンは唯一の連絡手段を絶たれ、途方に暮れてしまい、その場で立ち尽くしていた。

「にい………、兄さ………、兄さーーーーーん、どこにいるんだーーー!!」
暫くして、プロイセンの薄れゆく意識の中で、プロイセンの愛する弟・ドイツの声が聞こえてきた。
「ヴェ、スト…?ヴェストーーーー、俺はここだーーーー!!」
プロイセンは力の限り大きな声で叫んだ。
「兄さん?!」
ドイツはプロイセンの声がした方へと走って行った。
プロイセンの意識はそこで途切れた。

次に、プロイセンが目を覚ました時は病室だった。
ふと、隣りを見ると、瞳(め)を真っ赤にしたドイツが心配そうに座っていた。
「兄さん、目を覚ましたのか?すぐに先生を呼んでくる」
ドイツは病室を飛び出し、担当医を呼びに行った。
その時、プロイセンは自分は助かったのだと気がついた。

その後、担当医は「軽い凍傷があるくらいで、命に別条はありません。暫くの間は毎日欠かさず温かいお風呂に入って体を温めてください」という診断を下した。

それから、ドイツはプロイセンに彼の救出までの経緯を語った。
「……全て、リヒテンのおかげだ。
兄さん、リヒテンに感謝するんだな。
これだって、リヒテンのおかげなんだろう?」
ドイツは最後にそう締めくくった。