Hiwaily*2 番外編 その8
Hiwaily*2関西店、本日臨時休業中。
なぜなら。
部屋の中を漂うのは、甘い匂い。
テーブルの上所せましと並べられているのは、多種多様なデザート。
それを満足げに食べているのは、一人の青年だった。
「このケーキ美味しいー」
「ぱぱ、そっちのタルト頂戴」
その周りでは、この店のメンバーや関東の面々。
「むっち、そっちのケーキとってよ」
「分かったよ、コゲ」
「ask、そこのプリンとって」
そしてなぜか、ライバル店のsmiley*2の面々もいる。
そんな中、厨房からげっそりとした顔で出てきたのは直人だった。
「……疲れた」
「お疲れさん」
「大丈夫か?」
Geroは直人をソファに座らせ、ジギルは彼にお茶を差し出す。
「げろりーん、ジギー。疲れたよー。俺こんなに疲れたの
この間やった『24時間ケーキ作れますか?』いらいだよ」
「お前そんなことやってたんかい」
「あー、おいしかった」
一心不乱にケーキを食べていた青年――clearは満足そうに紅茶を飲んだ。
「……それにしても、いったい何がどうなってるんですか?
というか、何でそこのお兄さんがここにいて、あんずさんたちがいて。
しかもげろりんここにいるの?」
「ごめんねー。蛇足さんに君を探すよう頼んだの。僕だったんだ」
clearの言葉に、直人はますます困惑する。
他の面々も後手に回っていたために満足な説明はない。
「なんでまた」
「なんでって、直人君のケーキが食べたかったからだよ!」
彼曰く、直人が新宿歌舞伎町に戻っているといううわさを聞き。探していたらしい。
でもって、その度が過ぎて蛇足に謹慎を言い渡されたのだが。
今回、見張り(ぽこた)をぶち破って関西に来たらしい。
そんな理由でこの大騒ぎかよ!
と直人を除く全員の心が一つになったことは言うまでないが、直人はなおも首をかしげている。
「……いや、何で俺のこと知ってるんです?」
「んーとね。俺がよくいくケーキ屋さんに君がいたのが元で。
後、これに乗ってたんだよ」
彼が出したのは、東京のシェフが定期購読している雑誌のバックナンバー。
その中に、『期待の新人』という題目で直人が顔写真入りで乗っていた。
作品名:Hiwaily*2 番外編 その8 作家名:響嵐



