Hiwaily*2 番外編 その8
「全然知らなかったなー。雑誌に載ってたって」
「おまえ、ほんまに料理以外のこと頭にないねんな」
Geroの呆れたような言葉に、直人はむぅっとむくれた。
「しかたねぇだろ、東京に出て死に物狂いで働いてた時期だったし。
それに、気がついた時はブラックリスト入りでどこにも雇ってもらえなかったし」
「それなんだが、なんで直人ほどの腕のいい料理人がリスト入りしたんだ?
何やらかしたんだ?」
そ~まの質問に、直人は若干苦笑いをこぼす。
「いや、店のレシピを片っ端から覚えまくってたってのもあるんですけど……。
納得のいく料理を追及してたら、厨房の食材を多く使ったり。
先輩達よりもオーナーに贔屓にされたりで。首にされたんですよ。
流石にブラックリスト入ったって話聞いた時は焦りましたけどね」
「にしても、くりあんが会いたがってた料理人が、まさか蓮の所にいたとはねー」
蛇足の言葉に、蓮はにやりと笑う。
「羨ましいかい?蛇足」
「……二人、知り合いなんですか」
「直人は知らなかったんですね、彼等は幼馴染なんですよ」
あんずの言葉に、直人はただうなずく。
と、近付いてきたclearに手を取られた。
「直人君、ありがとう。ケーキ凄く美味しかった」
キラキラな、王子様のような顔と声でそう言われ、直人は顔をそむける。
「……いえ、それが仕事ですから。というか、何で俺が関西にいるって?」
「昨日のツイッターみて、俺フォローしてるんです」
「あ、成程」
「にしても、俺達は最初smiley*2が直人を引き抜きに来たのかと思ってたよ」
amuの言葉に、蛇足は笑みを深くする。
作品名:Hiwaily*2 番外編 その8 作家名:響嵐



