わがままフェアリーラブ!
帝人君を抱きしめたまま思わず天を仰ぐ。
これからは女に気を付けよう、なんて情けない男のようなことを思いつつも、そのおかげでこんなに可愛く嫉妬してくれた帝人君を見れたんだから、少しだけは感謝してやろう。ほんの少しだけ。
「あー、帝人君。それね、誤解。大丈夫、俺が愛してるのも大好きなのも君だけだから」
「・・ほんと、ですか?」
「ほんとほんと!ほら、いーっぱい色んなわがまま聞いてあげたでしょ?愛してる証拠!」
「・・・・ごめん、なさい・・・っ」
抱き着いた腕はそのままに、少しだけ顔を上げた帝人君の愛らしさたるや、まさに天使もかくや。
真っ赤になった頬も鼻も目じりも全部可愛くて、ちゅっちゅっとキスを降らせてやると、さらに涙を浮かべて縋りついてきてくれた。
「ぼく、こわく、て。ちょっとわがまま言って、いざやさんに、好かれてる、って、思いたく、て。それで・・」
「うんうん!どこまで俺がお願い聞いてくれるのか試したかったんだよねぇ、それで言ってみたら案外叶っちゃって?じゃあもう少しって試したくなっちゃって?捨てられるのかなー女のとこ行っちゃうのかなーって不安に思っちゃって?」
「う・・ごめ、なさ・・・」
「あぁもうなんて可愛いんだ帝人君!でもシズちゃんとは無理だよ!さすがの帝人君ラブな俺でもできないことってあるからね」
だからもうあんなこと言っちゃだーめ、と言ってその小さな唇を塞いでやる。
ついばむようなバードキスを繰り返せば、帝人君からも拙いキスで返してくれて
(あー俺って単純だなぁ、初めて知ったよそんなこと。でもまぁいいか。気持ちいいし可愛いし可愛いし死にそうなくらい可愛いし)
調子にのって舌も入れてみたけど、抵抗のかけらも帝人君からは見えない。
さらに深く抱き込んで、後頭部を片手で押さえつけるディープなキス。
ごくりと2人分の唾液を飲み込む音が帝人君の喉から聞こえる。
頭の中は「可愛い」と「抱きたい」の2種類の言葉だけで埋め尽くされていく。
「いざ、や、さ・・・だいすき」
顔を真っ赤にした帝人君が、舌っ足らずに満面の笑みでそんなことを言うものだから。
それでなくても容量オーバーしそうだった俺の頭とピーな部分が破裂しそうになって、
「え・・っ、あ、いざやさ・・やん、らめぇっ!」
と、おいしく頂いてしまったのでした。
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「なーんていうラブストーリーはどうかな帝人君。俺たちの愛しくも滑稽なすれ違いラブと甘々な純愛ロマンチックな恋愛は!」
「・・・とりあえず、帰ってくれますか・・・・」
と、現実の帝人君は死んだ魚を見るような淀んだ瞳で俺に答えてくれたわけだけど。
あぁここは帝人君のいつものアパートさ、早く俺のところに住んじゃえばいいのに。
なんて言ったら「住む理由がありません」なんて冷たくバッサリきられてしまうけどね、だけど俺は諦めないよ、なんたって俺は帝人君を愛してる!
サンシャインでの土下座だって、100本どころか100万本のバラだってなんだって贈ってあげるよ!
もちろん現実の俺は帝人君と付き合えるなら、女と触れ合うなんて絶対にやらないけどね。
だからほらパソコン見るのをやめてこっち見て。
さっきの話みたいな恋人同士になるには、もう少し時間がかかりそうだけど、俺はいつまでだって頑張れる!
(あぁでも、恥ずかしくて臨也さんが見れないんです・・なんてわがままもいいなぁ!早く言ってくれないかなぁ!)
くふくふ笑いながら背を向けた帝人君を抱きしめれば、さっきのストーリー並みに赤くなった耳が見えて、たまらず俺はそこに噛みついた。
作品名:わがままフェアリーラブ! 作家名:ジグ