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カッパの罠

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「ヒロトさん!木暮くん!何処へ行っていたんですか? 丸一日帰ってこないなんて……」
春奈の声が途中で止まる。髪から服まで泥まみれにした二人の姿に尋常ではない雰囲気を感じ取ったようだ。
「二人とも、お風呂沸いているから、入った方がいいと思うよ……」
秋がおずおずと声をかける。チーム内でも割と笑顔を見せることの多い二人が、何も語らず眉一つ動かさない。
単なる疲弊では無いだろう。心身共に何者かによって陵辱を受けたようにすら感じられる。
秋の言葉に、身体を引き摺りながら二人は浴場へ脚を進めた。
「ヒロトさん、木暮さん……?どうしたんですか、そんな腑抜けな表情をして……」
廊下で虎丸と鉢合わせする。虎丸はマネージャーと同様に心配を訴え、何処に行っていたのかと問い掛けた。
「…………よ」
「え、何ですか、ヒロトさん……?」
ヒロトが何事か口にしたようだが、余りにも小声で独り言のような呟きだったためほとんど聞き取れず、虎丸はヒロトに再度問い掛ける。
「いるんだよ」
ヒロトと視線が合う。
虎丸の背中に鳥肌が立った。
その瞳は虎丸を見詰めていながら、全く異次元の世界を思い浮かべているようでもあった。

「――やっぱりカッパはいるんだよ」
作品名:カッパの罠 作家名:兎月