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チョコレートケーキ
チョコレートケーキ
novelistID. 1202
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エンジョイブル・エイト

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「おう」

素麺を作っただけだというのに、すごく疲れたがな。
さーて、ネギでも切ろっかねぇ。







「四時間、十二分」

嬢ちゃんが蛇に睨まれた蛙ごとく縮こまった。

「随分とかかったじゃないか。こんなことも早くできないのか?」

テーブルに並んだ素麺とネギ、取り皿、そして流し素麺セットを前にしてナルが目を細める。

「ごめんなさい…。でっでもぼーさんは悪くないんだから、ぼーさんも怒るのは……筋違いじゃない?」

「連帯責任という言葉を知らないのか?」

「でもっ」

「はいはい、もう諍いはいいから。早く食おうぜーオレもう腹減りまくりで」

嘘ではない。
ナルから電話はちょうど昼時だったので、なにも食べていなかった。

「…。リン」

「はい」

男が一番高くセットされた竹の前にゆで上げた素麺を持って、向かう。
あ、始まるのね。

「はい、嬢ちゃん。麺つゆ。と、ネギ。麺つゆはもう水で薄めてるから」

「あっありがとう。…。はい、ナルも」

「…」

無表情で嬢ちゃんから麺つゆを受け取るナルにまた笑いのツボが呼び覚まされそうになって、あわてて目を反らした。
なんなのもうこれ。

「リン。準備完了だ」

「わかりました」

素麺が流れてくる。
竹の道を辿って。
シュールってこんなことをいうのかねぇ。


そんなことを悟った、夏のある暑い日。