Midnight War
昔から、ルナはコムイに弱い。
これは周知の事実である。
「うっ・・コムイ・・・」
ようやく戦いの手を止めたルナ。
はあ、と溜め息を吐くようにラビも手を止める。
「教団をこんなに破壊しちゃ駄目じゃないかぁー。戻すの大変なんだよ?」
「・・・ごめんさ」
「ほら、ルナもちゃんと謝りなさい!」
いつの間にか近くにやって来ていたリナリー。
隣にはアレンが居る。
「・・ごめんなさい」
「何でこんな事になったんだい?言ってご覧?」
「だって、コムイ!ラビが夜中なのに私の部屋に侵入してきて・・・」
先程自分の身に起こった一連の事件を淡々と語るルナ。
周りの視線が痛いほどラビに注がれる。
ごそごそと呟きが聞こえてくる。
「ラビのせいじゃん」
「ていうか、何してんだ・・」
「エクソシストなのに・・」
「いや、だって、ほら・・・皆もするだろ!?よば・・」
口にしかけた言葉に瞬時に反応して彼の鳩尾に拳を振り落とす。
無言で睨み付けた。
「じゃ、今回悪いのは明らかにラビって事で♪一件落着!」
ニコニコとしながら踵を返すコムイ。
それを追うようにリナリーが後を追う。
ラビ、とアレンが声を掛けた。
「・・・片付け、手伝ってあげますから」
「アレン~~」
すかさずアレンに抱きつくラビ。
飛びついてラビの背中に手を回しポンポンと叩いてあげる。
ルナは興醒めといったように踵を返す。
「ルナ!!」
「なによ?」
「また行くな!」
満面の笑みでこちらを見てくる。
懲りてないのか、と心の中で呟くがあえて返事はしなかった。
戦い疲れたのか先程から眠気がひどい。
早く帰って寝よう。
心の中で呟きながらその場を後にした。
「なぁ、アレン?」
「なんです?」
「アレって、いいって事かな?」
「さぁ、どうでしょう?」
残された二人はそんな会話をしつつ、後片付けをしたそうな。
「・・しばらくはやめておいた方がいいと思いますね」
「だよな」
「これで恋人同士じゃないっていうのが不思議ね」
「ルナちゃんにその気が無いからねー。ラビは目に見えて分かるけど」
「でもアレはやりすぎよね、兄さん」
「ある程度加減はするべきだよね」
「いや、加減とかそういう問題じゃないからっ」
リナリーとコムイの兄妹は司令室に向かって歩いていく。
ルナは自分の部屋に戻ると先程自分で空けてしまった穴に愕然とし、ソグになんとかならないか尋ねるがさすがにこれはイノセンスではどうしようもないと分かり、リナリーとコムイに相談するため司令室に足を向かわせる。
後片付けをしている最中に材料が足りないことに気付き、どうすればいいかコムイの判断を窺うため司令室に向かうラビとアレン。
数分後には再び全員が司令室で顔を合わせ、また小さな戦争が勃発することになる。
作品名:Midnight War 作家名:大奈 朱鳥