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それはどういう意味ですか?

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「ん・・・・・・」

気がつくと視界が真っ暗で何も見えなかった。
あれ?と思うと同時にそれは自分が瞼を閉じているからだと気づく。どうやら今まで眠っていたらしい。しかも座ったまま。

(今何時だろ・・・、というかここって・・・?)

背もたれにもたれて瞼を下ろした状態まま、まだぼんやりした意識の中考える。

(えと・・・、とりあえず僕の部屋ではない・・・よね?)

今自分が座っているのはソファらしく、身体が沈み込むほど柔らかくてとても座り心地がいい。あまりに心地よいのでまた眠りに落ちそうになる。
しかしさすがに今いる場所がどこかもわからない状態で眠り続けるわけにはいかないだろう、とこのまま二度寝という抗いがたい誘惑をどうにか断ち切る。
それに・・・、先程から左の頬に触れている感触が気になった。
おそらく人の手だ・・・。男の人だろうか、少し皮膚が硬くごつごつしてはいるが温かい。頬を包み込むようにして支えているみたいだ。

「おや、起きてしまいましたか」

すると顔のすぐそばで声が聞こえた。

(・・・四木さん?)

声の主である人物を特定した瞬間、僕は眠りにつく前のことを思い出す。

◆◇◆◇◆

今日は定期試験の最終日で午前中の試験があるだけだった。試験勉強で寝不足気味だった僕はさっさと帰って寝てしまおうと、試験明けだというのにまったく疲れた様子のない正臣からの誘いも断って(どうせナンパだろう)、寄り道はせずにまっすぐ家に帰ろうとした。
でもその途中、四木さんに捕まったのだ。捕まった、というのはそのままの意味で、道で四木さんに声をかけられたと思ったらそのまま車に乗せられこの・・・、たぶん仕事関係の事務所だろう、この部屋まで連れてこられた。拉致といってもあながち間違えではない気がする。
声をかけられたのが他に誰もいない場所でよかった。もし誰かに見られたら通報されるに違いない。いや、人気がなかったからこそあの場所で声をかけられたのかもしれない・・・。

この部屋に着いて、お茶を出されてからすぐに四木さんの携帯が鳴った。急に仕事が入ったらしく、四木さんに少し席を外すと申し訳なさそうに言われた。

「すみませんねえ、せっかく来てもらったというのに」
「あ、お気になさらず・・・。ええと、それなら僕はもう帰った方が・・・」
「いえ、すぐに終わらせますんで君はここで待ってて下さい」

四木さんは笑顔でそう言ったけど、その言葉は丁寧語だというのに有無を言わせぬものがあった。それに・・・、なんとなくだけど四木さんが怒っているようにも見えたのだ、気のせいかもしれないけど。部屋の温度も1〜2度落ちた気がする、気のせいだろうけど。

そして待っている間、出されたお茶やお菓子を食べたり園原さんに借りた本を読んだりして時間を潰していたけれど、睡眠時間も足りていなかった僕はついに寝てしまったのだ。