ラブレター
ラブレター
わたしは綴り続ける あなたへの想いを
あなたは暴きだす わたしの欺瞞を
わたしとあなたはとてもよく似ている
わたしはあなたの中のわたしを愛し
あなたはわたしの中のあなたを嫌悪した
あなたを見るたび わたしの胸は悲鳴を上げ
あなたの声を耳にするたび わたしの心は産声をあげる
あなたの仕草一つ一つすべてが愛しくて
わたしはあなたのわたしの中に閉じ込めたくなる
やさしく やわらかく そっと包み込む
まるで羊水に浸るように
あなたが安心して微笑むことができるように
誰からも傷つけられることのないように
誰にも 見られることのないように
苛烈なあなたは厭がるだろう
その輝く瞳を醜くゆがめて
それでも美しいあなたは それがどんなにわたしを魅了するのか知らない
けぶる恍惚と 蕩ける欲望
たまゆらの恋情と 鋭角な激情
つねにわたしを惑わす 両極の感情
残酷で清冽なあなたには きっと判らないだろう
わたしがどれだけあなたを愛しく想っているかを
『わたし』という檻の中で いついつまでも愛でていたい
『あなた』という醜い肉を わたしという凶器で叩き壊してしまいたい
昏い愉悦に笑みが零れる
あなたにとっては どちらも迷惑なことなのだろうね