Kiss & Cry
もう勢いで丸め込むしかない。そんな決意と共に零の肩をつかんでじっと見つめれば零は何度か目を瞬かせ、「そうか」と頷いてくれたので俺はほっと安堵の息をつく。
ところがどっこい、コレで終わらせてくれないのが天然が天然である故のクオリティだった。冷や汗をかきまくる俺を相変わらず汚れを知らない真っ直ぐな目で見つめてくる零は、徐に口を開くと、三発目の爆弾を容赦なく炸裂させてくれた。
「では俺も壇のように君に触れたいと思うのは間違いなんだろうか」
「――――」
「俺も君にハグしてちゅーをしたいのだと思う」
神様、助けてください。
思わず、ついこないだ自分の手でフルボッコにした存在にそんなことを祈ってみる。
どう答えろっつーんだこれええええ!!!燈治みたいにって!!触れたいって!ハグしてちゅーしたいって!! それ深読みしなくても色々アウトだろおおお!!!?
――とりあえず、明日、燈治をぶん殴る。
そんな決意を固めつつ、今この場をどう切り抜ければいいのかを俺は真剣に考えた。
作品名:Kiss & Cry 作家名:ゆうや